2011年12月28日

被災地で生活する者として2011年を振り返る

 2011年3月11日、午後2時46分・・・。

榴岡小学校緊急避難所@.jpg 東日本大震災の猛威は「想像を絶する惨事」というより、「一瞬のうちに生活者が営んできたこれまでの時間軸を奪い去った現実」と感じています。津波によって家族も、家も、人々の歴史さえも否応なく破壊した今回の自然災害の前に、人間の無力さを痛感しながら「前へ、一歩でも前へ」とふんばってきた9ヵ月間でした。

 「あの震災翌日に朝刊が配達された」と読者から久しぶりに称賛され、ライフラインが途絶した生活者が「紙」の新聞(号外)を食い入るように読んでいる光景も忘れることができません。

上杉支店前.jpg 業界内ではあたかも「紙の復活」のように豪語する先輩方も少なくありませんでしたが、それは有事の際の宅配システムがほんの一瞬スポットライトを浴びただけだと思っています。あの大変な状況下で配達業務に携わった方々のご苦労は計りしれませんが、それで「新聞離れ」が解消されるわけではない。やはり、対価を払って読みたくなる記事コンテンツ(紙でもネットでもそれは共通)が新聞産業の隆盛を左右するのは当然のことです。
 その意味では震災報道を風化させることなく、被災者に寄り添いながら地域の生活者の代弁者として報道し続けること。その必要性を記者の方々も現場に足を運んで感じたのではないでしょうか。俯瞰することだけが記者のよりどころではないはずです。寺島英弥さん(河北新報社編集委員)が唱えるシビックジャーナリズムの実践が、今まさに求められているのだと思います。
 「編集・販売の一体型によるシビックジャーナリズムの実践」、「販売店の物流・データ集約機能を活用した販路拡大」などを新聞産業の内側にいるうちは考え、チャレンジしていきたいと考えています。
 来年もよろしくお願い申し上げます。

 昨年に引き続き、新聞協会報(11年12月20日付)が報じた「2011年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返ってみます。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。


@東日本大震災で甚大な被害/印刷委託などで発行継続
 マグニチュード9.0。最大震度7。3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災は、新聞発行に甚大な被害をもたらした。
続きを読む
posted by 今だけ委員長 at 19:35 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2011年12月14日

河北新報が読売新聞を受託印刷 3年契約が気になるが…

 年末の忙しさを言い訳にだいぶ遅レスになってしましましたが、河北新報社(河北新報印刷センター)は朝日新聞に引き続き、読売新聞と来年3月から受託印刷することに合意したと発表しました。


▽河北新報社が読売新聞の一部を受託印刷 来年3月から
(河北新報 12月9日付)
 河北新報社と読売新聞東京本社は9日、東北地方に配達する読売新聞本紙の一部を河北新報印刷センター(仙台市泉区)で印刷することで基本合意した。印刷開始は2012年3月を予定している。期間は3年間。
 読売新聞東京本社は、仙台工場(宮城野区)が東日本大震災で被災し、現在は宮城県外の工場で印刷している。こうした状況を解消するため、河北新報社に委託することにした。委託するのは宮城県全域と、岩手、山形両県の一部に配達する11万9200部(年平均)。
 河北新報社が全国紙の印刷を受託するのは、朝日新聞社に次いで2社目。
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/12/20111209t12037.htm

▽読売が河北に印刷委託 仙台工場運休による分散解消へ(日本新聞協会報道界ニュース 12月9日付)
 読売新聞東京本社と河北新報社は12月9日、東日本大震災の前まで読売新聞仙台工場(仙台市)で印刷していた宮城県全域と岩手・山形両県の一部向け読売新聞朝刊11万9200部を、来年3月1日から河北新報印刷センター(仙台市)で印刷することで基本合意したと発表した。読売は仙台工場が震災で大きな被害を受けたことにより、他の工場に分散しての印刷を余儀なくされていた。委託期間は3年。両社は輸送協力についても今後、協議を進めるという。
 今回の委託印刷で読売は、印刷を分散している状況を解消し、東北地域での新聞発行体制の安定化を図る。河北は印刷を受託することで、生産設備を有効活用する。
 読売の仙台工場は現在、製作設備を撤去し、運休している。震災前まで同工場で刷っていた読売・報知の両紙は、読売の郡山工場(福島県郡山市)と岩手日日系の青森高速オフセット(青森県弘前市)に振り分けている。今回、委託印刷を合意したのは読売のみ。仙台工場で刷っていた報知1万7千部は現在、郡山工場で1万4千部、弘前工場で3千部を印刷している。
 河北新報印刷センターは2003年に稼働、40ページ24個面カラーが可能な高速タワー型オフセット輪転機4セットを保有している。免震構造を採用し、震災でも被害はなかった。
 河北が全国紙を受託印刷するのは朝日に続き2社目。読売は十勝毎日、岩手日日のほか、近年では新潟(10年9月開始)、北日本(11年3月)、朝日船橋工場(千葉県船橋市、同年6月)などに委託している。
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/111209_1629.html


 3カ月ほど前から関係者の間では話題になっていたことですが、読売新聞と関係の深い報知新聞(スポーツ紙)も受託するかどうかが難航していたようです。報知新聞の関係者によると「(受託印刷によって)労務問題が発生する可能性がある為、報知の入るスペースはなかった」とのこと。
 スポーツ紙は、プロ野球のナイター結果を完全掲載することがいわば生命線でもあるため、降版時間が確定しづらいスポーツ紙の受託は難しいと判断されたのかもしれません。それでなくとも、聖教、朝日、読売、河北新報と輪転機を目一杯稼働させながらの業務はかなり大変になるでしょう。


 また、今回の業務提携では輸送部門の協力体制も検討されているようです。共同輸送の仕組みは新聞社経営の効率化という意味で必要不可欠ではありますが、雪の多い東北では「安全第一」の輸送体制に重きが置かれるべきですね。
 もっとも下流にある販売店問題については、これまでのところ販売店同士の紙の持ち合いなどの話は聞こえてきません。配達経費がかかるエリアの合売店化は加速しそうですが、仙台市などの比較的大きな都市部では拡販合戦がまだまだ続きそうです。

posted by 今だけ委員長 at 01:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2011年12月07日

ワンコイン応援メッセージ第8弾は牡鹿・雄勝エリアです

 先日、○○市の「震災復興室」から相談を受けました。「自宅を津波で失った、もしくは家屋が全壊し移転を余儀なくされた借り上げ仮設(民営集合住宅などへ行政から家賃を支給され住んでいる世帯・みなし仮設とも言われています)に住む被災者への物資支援がほとんどない」というもの。
 各ボランティアは所在がわかる仮設住宅団地に対して、(最近はめっきり減りましたが)さまざまな支援を続けていますが、行政側が一括管理している借り上げ仮設に住む方の情報をクローズにしているため、行政以外の支援が受けられないというもの。ボランティアも「手を差しのべたいけれど、把握できないため地団駄を踏んでいる」というのが本音のところです。行政側がもっと情報提供すればいいのに…と思うのですが、まず無理でしょう。「最低限の生活レベル」を基準に判断する集団には、内部の壁を破ろうと考える人は残念ながら皆無。組織にどっぷりつかってしまうと、自分たちの常識がどれほど世間からは非常識だと思われているのか察知できなくなるのでしょう。これは新聞業界もある意味一緒なわけで…。

 津波によって家屋の1階部分は住める状態にないものの、2階部分で自力で生活をしている在宅避難世帯については、地元のボランティア団体が1軒1軒地道なヒアリングをして支援の手が回っているところも増えてきました。ですが、ポツンと陸の孤島のようにひっそりと不自由な生活をされている世帯も少なくありません。
 そのような地域の方々と関わりを持てているのは、「新聞販売店」なのだろうとつくづく感じています。毎日配達し、毎月集金へ行って世間話をする。新聞が2〜3日たまっていれば「何かあったのでは?」と注意をする。独居老人世帯ならばなおさらです。発行本社の方々は、新聞販売店の機能と役割をあらためて見直してみてはいかがでしょうか。

   ワンコイン応援メッセージ第8弾 牡鹿・雄勝編.jpg   ワンコウイン応援メッセージ第8弾 牡鹿・雄勝編2面.jpg
 ワンコイン応援メッセージプロジェクトの第8弾は石巻市の旧牡鹿町(鮎川・大原)、旧雄勝町のエリアへ約800枚のチラシを来週11日の朝刊へ折り込む予定です。2面には被災地で活動するボランティア団体を紹介しました。取りあげさせていただいた「絆JAPAN」の活動は、下記のブログを参照してください。
▽船越小学校にある漁師さんの作業場づくりのお手伝い(ふらっと12月5日)
http://flat.kahoku.co.jp/u/volunteer25/shjmZRTbinx9dIpUS4HV/
 今回も多くの方にご支援をいただきながら発行にこぎつけました。どうもありがとうございました。

 引き続き、ワンコイン応援メッセージプロジェクトは3・11大震災で多くの被害を受けたエリアの新聞販売店の支援と、地域住民への情報発信を目的に発行してまいります。皆さまのご支援をよろしくお願いします。
 ワンコイン応援メッセージプロジェクトへの問い合わせは、koseki.k@gmail.com まで!

2011年12月01日

加速する印刷部門の提携に伴い、販売店の「肩たたき」統廃合も動き出す

 新聞社間の印刷部門の業務提携(受託印刷)が加速している昨今、発送、販売店部門を含めた流通部門の統廃合が動き出しています。


▽ASA所長の転進支援 朝日が一時金支給
 朝日新聞社の飯田真也常務取締役販売担当らは16日、朝日新聞販売店主への転進支援制度の概要や趣旨を説明した。支援制度は10月から来年1月末まで、山梨、栃木、群馬、新潟、長野、静岡、東北6県、北陸3県、中国、四国、九州、北海道(札幌圏を除く)に本店を置き、朝日新聞を500部以上扱う専売店店主が経営を完全廃業した場合、500部から1000部までの扱い店に500万円、1001部以上の扱い店に1000万円の特別金を支給するもの。11月11日現在49件の応募がある。応募者の平均年齢は59歳、店主歴は平均18年。
 飯田担当は制度の趣旨を「朝日販売網を支えたことに対して感謝の気持ちを表した。資金面で余裕のあるうちに支援したい」と説明。さらに、今後の人口減少、高齢化、デジタル化と若者の新聞離れ、東日本大震災後の折り込み減少、消費税などが新聞販売店に及ぼす影響に対して今から準備をしておく必要があると述べた。そのため、同社は朝日販売網を部数が伸ばせる競争地域(都市部)と部数を維持する協調地域(過疎地域)に分けて中長期の販売網のあるべき姿を検討していくとした。これまでも読売や日経などと「預け合い」を行ってきたが、今後は両紙に加えて協調できるすべての新聞社と相談して朝日新聞販売網、戸別配達網を守っていくという。
 質疑応答では、制度が今回限りの特別措置であり新聞社側にも販売経費削減効果があること、100件以上の応募に対応できる予算をとっていることなどが明らかになった。(ジャーナリスト新聞 11月21日付)

 印刷部門を提携したところで、その下流部門の発送(新聞輸送会社)と宅配(販売店)まで共同的な業務運営をしなければ、新聞産業全体のスケールメリットは得られないと小ブログでも指摘をしてきました。しかし、一方的に販売店を改廃するわけにはいかない。朝日新聞の販売店店主に対する「肩たたき」はそうしたジレンマを抱えながらの宅配体制を維持させるための施策なのだろうと感じます。
 「専売網を維持するために、1000部の店だと毎年約1000万円の経費(補助金など)が必要となる」と記事は伝えていますが、1000万円の経費を使って「紙」を押しているわけですから、部数(販売収入)を維持するために自社の経費を使っているという新聞社の摩訶不思議なシステムまでには言及していません。販売店主さんも「紙」新聞や折込チラシの行く末を見れば、転身支援制度に応じる方も少なくないと感じます。いずれにしても、全国紙ほど専売店を維持するということがしんどくなってきているということなのです。
*  *  *

東奥日報が小学生記者を募集
東奥こども新聞 小学生記者を募集.jpg 東奥日報社(青森市)が来年1月末に発行する「東奥こども新聞」(第26号)の取材をする小学生記者を募集しています。購読者を取りこむという戦略は最も効果的な手法です。募集人員の60名(世帯)は間違いなく、長期固定読者として同紙を購読されると思います。
 子ども向け新聞の発行部数が軒並み伸びているなかで、有料の新聞(毎日、朝日、読売)に関しては、小学館などその道の専門企業が紙面を構成するなど、コンテンツ自体もすばらしいものです(大人が読んでもオモシロイ)。ですが、地方紙が紙面の補完として提供している子ども向けのページ(新聞と言ってますが)はやはり読み応えはいまひとつ…。子どもページをつくる目的が「読まれるコンテンツをつくる」ということから、「とりあえず子ども向けの媒体はできたのだから、販路を拡大しろ!」へすり替わり、「現状ではこのレベルのものが手一杯」という編集側の苦悩さえうかがえます。会議室と現場のギャップはまだまだ大きな隔たりがあるものです。

posted by 今だけ委員長 at 05:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース
ツイート