2011年02月27日

戦争を煽ったメディア「自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ!」

 NHKスペシャル「日本人はなぜ戦争へと向かったのか 第3回 "熱狂”はこうして作られた」。じつに興味深い内容でした。ツイッターのタイムラインを眺めながら放送を見ていると多様な意見が論じられ、番組がさらに補完されていくさまを感じます。

 ツイッター上では新聞、ラジオに対する批判が多かったのですが、このような番組が放送されることや朝日新聞社が2007年4月から翌年3月まで夕刊に連載した「新聞と戦争」(のちに朝日新聞出版が発行)のように、各メディアとも自戒を込めた検証をしっかり取り組んでいることも知ってもらいたいと思います。また、当時の国民がメディアに何を求めたのかについてもしばらく考え込みました。国民の欲望に応えることで商業的な成功を得るメディアの構造も…。
 国家権力をチェックする役割がジャーナリズムであって、代表格が新聞であるとするなら、その新聞(経営者)をチェックするのはやはり新聞社の労働組合なのだろうと思います。自社の紙面について労働組合はどの程度関心をもって接しているのでしょうか。労働者の生活水準の維持ばかりが労働組合の役割ではないないはず。ともすると、既得権や収入増(広告費や部数)に熱狂してはいないだろうか、社内で異を唱える人がはじかれる社内体質を「個人の問題」と許してしまってはいないだろうか。
 販売労働者からこんな偉そうなことをいわれるとムカつく人がほとんどだと感じますが、もう特別な産業ではなくなっていることを自覚すべきだと思います。

 新聞社は「信頼」というキーワードで企業活動を続けていくしかないのだと、あらためて感じさせてくれた番組でした。
* * *
 きょう、各販売店への移動中、久しぶりにFMラジオを聞いていたのですが、詩人・茨木のり子さんの「自分の感受性くらい」という作品が胸をうちました。ユーチューブをチェックしたところ、シンガーソングライター・鈴木君代さんがその詩に曲をつけて歌われています。
ぱさぱさに乾いてゆく心をひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを暮らしのせいにはするな
そもそもがひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ ばかものよ

 長いものに巻かれることなく、人のせいにすることなく、自分と向きあって信じた道を突き進め―。とてもよい詩です。
posted by 今だけ委員長 at 22:30 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月25日

「がんばる手に、“ありがとう”」いいコピーだなぁ

ユースキン新聞広告.jpg 「がんばる手に、“ありがとう”」のキャッチコピーがジワリと感動を与えてくれる広告です。きのうの全国紙に掲載されたユースキン製薬株式会社の全面広告には、お母さんや大工さん、自転車屋さんなど14職種の「手」がズームされ、「新聞の配達員さん」も紹介されています。

 新聞配達というと「届ける」仕事なので「足」をイメージするのですが、新聞のアンカー役として配達スタッフから読者へと、手と手で情報をつないでいるのだとあらためて感じます。インターネットのように光ケーブルや無線LANでつながれている世界と比べると、その範囲もスピードも到底かなうはずもありませんが、商品を届けることにその強みもあるわけです。

* * *
 最近、新聞販売界隈ではこんな話題が持ちあがっています。
 「きょうの新聞が必要なので500部用意してほしい」という電話が販売店にかかってくるというのです。でも、オーダーの電話だけで実際に新聞を取りにくるわけでもなく、在庫(残紙)の確認をしているようだ―というのです。誰がこのような電話をかけてくるのか。勝手に推測すると広告スポンサーか週刊誌系のライターのような気がします。
 大店を除けば1000部弱から3000部程度の扱い部数の販売店にそもそも500部の残紙が残っていること自体おかしな話なのですが、「いまから取りに行く」との電話に対して「いつでもお越しください」と答えようものなら「(過剰在庫が)あるんだ」となるわけです。
 販売店は在庫をお金に換えたいわけですから、このようなオーダーは願ってもないこと。でもその裏には何やらきな臭い調査の手が及んでいるかもしれません。そもそもそんなことが話題になること自体、おかしな話なのですが…。

 返品がきかない過剰在庫(押し紙)を減らせない新聞産業。過剰在庫が金を生む仕組みになっているので、なかなか無駄がなくなりません。

posted by 今だけ委員長 at 00:02 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月22日

毎日新聞社救済策なのか… 毎日・スポニチ持株移行株式会社が4月設立

 友人から届いた「毎日とスポニチが4月に共同持株会社を設立する」とのメールを見た瞬間、これは1977年の「新旧分離」と同じようなことが起こったのか、とビックリ。
 毎日新聞社の経営状況については、以前から厳しい状況にあると言われてきましたが、今回の毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社(毎日新聞社の連結子会社)の株式移転による共同持ち株会社設立(4月1日予定)は毎日新聞社救済のためなのかどうか。

 金融庁のEDINETに毎日新聞社の臨時報告書(2月1日付)が掲載されているのですが、それを読んでもあまりピンときません。
▽金融庁HPへアクセス 毎日新聞社のEDINETコード:E00706
https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1296573429498


※毎日新聞社が金融庁へ提出した臨時報告書より
【提出理由】
 当社及び当社の連結子会社である潟Xポーツニッポン新聞社は、平成23年4月1日(予定)を効力発生日として、株式移転により共同持株会社を設立することについて基本的な合意に達し、当社においては平成23年1月24日開催、潟Xポーツニッポン新聞社においては平成23年1月28日開催の両社の取締役会において、「株式移転計画」を承認、決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の3の規定に基づき、臨時報告書を提出するものであります。
【当該株式移転の目的】
 当社は、明治5年2月に東京で創刊した「東京日日新聞」と、明治9年2月に大阪で創刊した「大阪日報」の流れをくむ「大阪毎日新聞」が明治44年3月に合併して現在の母体を形づくっております。平成24年2月に創刊140年を迎える「毎日新聞」はわが国で最も歴史のある日刊紙であります。一方、潟Xポーツニッポン新聞社は、昭和24年に大阪で創刊して以降、東京支社、西部支社を設立、その後それらは分離独立して別会社となり、それぞれ「スポーツニッポン新聞」を発行してきましたが、平成16年10月に3社が合併して現在に至っております。
 近年、わが国における経営環境の激変は、新聞業界も例外ではなく、新聞の総発行部数も減少傾向にあります。今後、毎日新聞グループの経営基盤をより強固なものにするために、紙メディアを基幹としつつ、電子メディアにもさらに力を入れてまいります。そのために総合紙である「毎日新聞」とスポーツ、エンターテイメント紙である「スポーツニッポン」のメディアコンテンツを有機的、効率的に活用するための組織再編、新聞販売機能の効率化を行い、さらに強固な総合メディアグループとしての毎日新聞グループの形成を目的として、株式移転により共同持株会社を設立するものであります。

 「経営が行き詰っているのだから当り前だろう」と言われればそうなのですが、スポニチの経営内容も絶好調というわけでもなく…。朝日新聞では「持ち株会社の傘下に両社がぶら下がり、『メディアコンテンツを有機的・効率的に活用する』ほか、『新聞販売機能の効率化』を進めることを狙いとしている」と報じていますが、何か釈然としません。
 子会社・系列会社との合併だと、デイリースポーツと神戸新聞社の例が思いつくのですが、持ち株会社の設立となると読売新聞グループ本社のように東京本社、大阪本社、西部本社、中央公論新社、読売巨人軍という形態になると思うのですが…。

 ともあれ、昨年10月には毎日ビルディング(毎日新聞社の100%出資子会社)を吸収合併したばかりで、今度はスポニチと持ち株会社を設立するなど、経営のテコ入れを矢継ぎ早に行う毎日新聞社。現場で新聞発行を支えている人たちの努力が報われるよう、経営のかじ取りをしてもらいたいものです。


▽毎日新聞とスポニチ、持ち株会社設立へ(asahi.com 2月1日)
http://www.asahi.com/business/update/0201/TKY201102010588.html
▽共同持ち株会社を設立 毎日新聞とスポニチ(スポニチ 2月1日)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/02/01/kiji/K20110201000167970.html

◆1977年に起きた毎日新聞の新旧分離とは
 新旧分離は、企業が経営破綻あるいはそれと同等の状態に陥った際に、その企業が行っていた事業に対して、再建あるいは他社(スポンサー)への承継のために行われる私的整理手段のひとつである。
 「株式会社毎日新聞社」(旧法人)は、読売・朝日との熾烈な競争などで債務超過に陥ったため、1977年、新法人として「毎日新聞株式会社」が設立された。同年12月1日、旧法人は「株式会社毎日」に社名変更して債務返済に専念、新法人は「株式会社毎日新聞社」に社名変更し、旧法人から事業一切を引き継いだ。8年後に債務返済が一段落したことから、「スポーツ報知(報知新聞)と並ぶ現存する日本最古の新聞」の歴史を守るため、旧法人が新法人を吸収し、元に戻った。


posted by 今だけ委員長 at 22:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2011年02月13日

買い物難民対策「家まで商品を届けよう」に新聞販売店の活用を!

 高齢者を中心に食料品などの日常の買い物が困難な「買い物難民」が深刻な問題になっています。核家族化が進み外出が不自由な独居老人世帯が増えていることや、地域商店の閉店による「シャッター商店街」、バスなど公共交通機関の不採算路線の廃止などがその原因です。
 全国に約600万人もいると言われる「買い物難民」の生活支援策として経済産業省では、「買物弱者応援マニュアル」を昨年12月に発表。インフラを構築するための助成金3億円(事業所への上限1億円)を予算化したことなどから、大手スーパーや広告会社に物流会社、IT関連の新興企業などが大きなビジネスチャンスと捉え、積極的な姿勢を見せているようです。


▽ファミマと毎日新聞が宅配事業の実験を開始・「買い物弱者」対策で(Garbagenews.com 2010年11月26日付)

 http://bit.ly/g9bIi7
▽「買物弱者応援マニュアル」(経済産業省 2010年12月10日付)
 http://bit.ly/eOaJj5
▽都市再生機構、NTT東やセブンイレブンと光回線を利用した高齢者向サ−ビス(マイコミジャーナル 2月2日付)
 http://bit.ly/dR1O2c
▽ヨークベニマル 組織変更ニュースリリース(2月7日付)
 http://bit.ly/i2qzq8
▽注文受け買い物代行 藤崎系スーパー 仙台・泉パークタウン(河北新報 2月11日付)
 http://bit.ly/gy0YeV

 新聞販売店にもいろいろなところからオファーがきているようです。販売店の得意とすることを5つくらいにまとめてみると@小回りのきく宅配網を有している(地域インフラ)A顧客のデータベースを所有B店舗(集荷拠点)があるC営業スタッフが宅配だけでなく集金も行えるD折込チラシなどとの連携―などがあげられます。既存のインフラに乗せるのが一番コストのかからない方法ということもあって、売上の減少に苦しむ販売店にとっても悪い話ではないはず、と提案してくる業者も少なくないと聞きます。
 ですが、この手の話は発行本社の許可なくしてできないことなので、「そんな副業を考える前に紙を増やせ(発行本社の方は読者とは言わずに紙といいます)」となる可能性の方が大きいと思いますが、販売店が物流会社として生き残っていくためのビジネスチャンスなのです。かなり前から言い続けていますがw
 そうだ、担当員を口説くのにこんな提案はどうでしょう。「食材を届ける際の宅配料を自社の新聞購読世帯は半額にして読者増を図る」とか。


 業界紙の東京情報(1月31日付)に、地域のスーパーマーケットと提携して食料品の買い物代行サービスをしている新聞販売店(福島県いわき市/YC平谷川瀬・福園雅博所長)が紹介されていました。「すかいらいなぁ」と名付けられたこのサービスは昨年10月からスタート。会員登録制ですが会費無料でなんと配達料も無料。提携するスーパー「スカイストア」からの手数料だけで、これまでのところ採算は取れていないとのこと。ほとんど読者サービスですね。
 サービスの仕組みは、@販売店が作成したカタログを見て会員(会費無料)は専門用電話に申し込む。申し込み時間は月・水・金の午前7時〜12時A販売店は注文をスカイストアへファクス連絡Bスカイストアは顧客別に袋に入れて販売店へ午後1時までに納入C注文を受けた商品を当日の午後2時〜4時に販売店担当者が届ける―というもの。
 カタログの末面にはミネラルウォーターやトイレットペーパーなどを掲載し、物販にも力を入れているそうです。新聞の主たる購読層であるシルバー世代にとってはありがたいサービスだと思います。


 もうひとつ、読売新聞販売店のネタですが、埼玉県所沢市内を配達エリアとする読売新聞販売店(16店舗)が、広告チラシ配送及びそれに付随する情報提供サービスとして登録者の自宅へ週3回、チラシをポスティングする「インフォメーションパック」を3月9日からスタートするそうです。リクルートの「タウンマーケット」がサービス中止をした分野に“もち屋”の販売店が乗り出してきた格好になるのですが、販売店が取り扱う広告チラシは「新聞に取り込んで届ける」ことを前提にしているので、インフォメーションパックを一つの媒体として登録、新聞とは別にチラシを受け付けているのかなぁ…その辺の問題をどうクリアしたのか興味のあるところです。でも広告主からすると「チラシが欲しい」という方に届けてもらえばよいわけですから、広告主に対するサービスの間口を広げたことは確かです。
 リクルートでは週1回しかできなかったチラシのみの宅配(無料で)を週3回配るYCの配達網のがんばりに期待したいと思います。1区域の配達部数に1割程度(1区域150部とすると15件)であれば通常の配達網に載せてもそう大きな負荷にはならないでしょうから。
▽インフォメーションパックHP
http://tz.i-pack.info/top.htm

posted by 今だけ委員長 at 00:42 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月10日

毎日新聞が全国紙から東京の地方紙になったと感じた瞬間

 毎日新聞社が昨年4月から共同通信へ加盟してから10カ月。予想をしていたことですが全国紙と地方紙の同一記事が掲載になりました。  
河北新報夕刊 2月9日付.jpg毎日新聞 2月7日付.jpg けさ、読者の方から「きのうの夕刊記事が2日前の毎日新聞と同じだが、毎日新聞から記事の提供を受けているのか」という問い合わせ。今だけ委員長の自宅でも毎日新聞を購読しているのですが、昨晩は知人と飲んで午前さま…。夕刊を読み損ねていたので気づきませんでしたが、確認をすると見出しは違えど記事内容も写真にカットまで同じものでした。夕刊編集部に確認をすると「その記事は共同配信のものだ」とのこと。

 今だけ委員長は地元紙と毎日新聞、日本経済新聞を自宅で、年末からお付き合いで朝日新聞を3カ月間会社で購読しています。子どものころからフツーに全国紙と地方紙が食卓にあったので同じような見出しでも「新聞によって中身(記事)は別もの」と思っていたのですが、共同加盟によって記事が重複してくるとなると、どちらかを止めなければと考えてしまいます。政治、経済、社会面は発表ものが多くなってどこも似たような紙面になっているので、文化・カルチャー面を重視していたのですが…。

 人員削減、取材網の縮小を余儀なくされ、共同再加入を決断した毎日新聞社。当然のことながら地方紙と紙面がかぶるとなれば、全国紙として地方での立ち位置が微妙になってくるでしょう。同一の記事を眺めながら「毎日新聞が東京(大阪・西部)の地方紙」になったと感じました。
posted by 今だけ委員長 at 22:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年02月06日

高田昌幸氏(道新)を講師に 新聞労連東北地連2011春闘産研集会

 「記者は集金をしてみるべきだ。読者とコミュニケーションが取れて、新聞に求めていることが聞けると思う」 久しぶりに聞いた高田昌幸さん(北海道新聞)の講演でのひとこと。販売側からすると「そうだ!そうだ」という内容でしたが、会場に集まった約90人の労組員(記者職)にはどう響いたのかなぁ。

 2月3〜4日に八戸市で開催された新聞労連東北地連の春闘産研集会に参加してきました。
 高田さんとお会いするのは6年ぶりでしたが、「記者の取材力が低下している」との核心を突く問題提起は、ダンディな口髭と同じで変わりません。「誰のために新聞を発行しているのか」を問い、記者クラブに依存した発表もので埋め尽くされている紙面を指して、「これでは読者は離れていく」とも。さらに、(ネットなどで)誰でも情報を発信できる時代になったけれど、新聞(記者)は報道するのが役割であって、報道とはプロフェッショナルが取材したものを伝えることだと。たたかっている人の話は心に響きます。

 このような集会は新聞産業が抱えるテーマを討論し、問題点を共有したり改善策を講じたりすることが目的のはずですが、集会を開催することが目的化してしまっているような印象も受けました。道を切り開いていくのは“自分たち”だという覚悟を持って、少しでも前進していきたいものです。


新聞労連東北地連 2011春闘産研集会アピール

 「無縁社会」という言葉がある。家族や地域との絆が失われ、人間の孤立化が進む現代社会を表す言葉だ。新聞業界が厳しい環境にさらされている今日、そうした言葉が出てきたことは、新聞というものを考える一つの手がかりになるのではないだろうか。
 新聞記事を書くということは、あることがらを読者に伝えたい、届けたい、つながりたいという思いから出発する。そして読者は、そうした記者の思いを新聞記事から読み取っているのではないだろうか。新聞には人と人、人と地域、人と社会をつなげる力があるということだ。「無縁社会」という言葉が出てきた今だからこそ、新聞の持つつなげる力を向上させる努力をしなければならないのではないか。新聞のつなげる力を信じたい。
 新聞労連東北地連は春闘産研集会を2月3日から2日間にわたって八戸市で開催した。
 販売正常化委員会は、新聞の信頼性に関わる問題の販売正常化の現状について、元新聞労連副委員長で河北仙販労組の小関勝也氏の講演を聞いた。小関氏は「販売正常化を進めることは会社の収益を揺るがす問題をはらみ、新聞社で働く者の労働条件にも大きく影響する」と指摘。押し紙に支えられている現在のわれわれの境遇を今後も享受し続けるのか、正常化を進め、新聞の信頼性を守るのか、どちらを選ぶのかが、われわれに問われていると問題提起した。
 新聞研究部は、「日本の現場 地方紙で読む」を編集された北海道新聞労組の高田昌幸氏と小関氏が「地方紙の将来像を探る」と題しパネルディスカッションを繰り広げた。高田氏は、発信ではない、報道とは何か、プロの記者には何が必要かなどについて、自らの体験に照らして語られた。地方紙にとって、「記者が地べたにはいつくばって取材をし、普通の読者に読まれる記事を書く努力が大切」とし、記者一人一人が取材する力を強化することの必要性を強調した。
 合理化対策部は、昨秋、各社に協力いただいたメンタルヘルス調査をふまえ、岩手医科大学精神科学講座客員准教授の鈴木満氏に調査結果について報告いただいた。新聞社ではここ数年、若手社員の中途退職ということが大きな問題となっている。新聞社という特殊な職場で働くわれわれのメンタルヘルスという、興味深いタイムリーなテーマを分りやすく解説していただいた。
 昨年の「失望を希望に、『おごり』を捨てて『誇り』を守れ」から一歩踏み出し、「誇りを守る地方紙の挑戦 多様化する情報産業」をテーマとした2011春闘産研集会では、挑戦するための武器となるさまざまなヒントを得ることができた。ここに集まった東北地連の仲間一人一人が、小さな一歩を積み重ね、少しでも前進していく努力を続けることこそが、新聞産業と働くわれわれの生活、ジャーナリズム精神を守るために求められているのではないか。厳しい道のりかもしれないが、今こそ、ともに手を携え、歩み続けよう。
2011年2月4日
新聞労連東北地連 2011春闘産研集会

デーリー東北 2月4日付.jpg
※デーリー東北 2月4日付

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2011年02月02日

毎日新聞社救済策なのか… 毎日・スポニチ持株移行株式会社が4月設立

 友人から送られた「毎日とスポニチが4月に共同持株会社を設立」のメールを見た瞬間、「これは1977年の『新旧分離』と同じようなことが起こったのか」、とビックリ。
 毎日新聞社の経営状況については、以前から厳しい状況にあると言われてきましたが、今回のスポーツニッポン新聞社(毎日新聞社の連結子会社)との株式移転による共同持ち株会社設立(4月1日予定)によって、同社の経営にどれだけの効果をもたらすのかどうか。金融庁のEDINETに毎日新聞社の臨時報告書(2月1日付)が掲載されているのですが、それを読んでもあまりピンときません。


【提出理由】
 当社及び当社の連結子会社である潟Xポーツニッポン新聞社は、平成23年4月1日(予定)を効力発生日として、株式移転により共同持株会社を設立することについて基本的な合意に達し、当社においては平成23年1月24日開催、潟Xポーツニッポン新聞社においては平成23年1月28日開催の両社の取締役会において、「株式移転計画」を承認、決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の3の規定に基づき、臨時報告書を提出するものであります。
【当該株式移転の目的】
 当社は、明治5年2月に東京で創刊した「東京日日新聞」と、明治9年2月に大阪で創刊した「大阪日報」の流れをくむ「大阪毎日新聞」が明治44年3月に合併して現在の母体を形づくっております。平成24年2月に創刊140年を迎える「毎日新聞」はわが国で最も歴史のある日刊紙であります。一方、潟Xポーツニッポン新聞社は、昭和24年に大阪で創刊して以降、東京支社、西部支社を設立、その後それらは分離独立して別会社となり、それぞれ「スポーツニッポン新聞」を発行してきましたが、平成16年10月に3社が合併して現在に至っております。
 近年、わが国における経営環境の激変は、新聞業界も例外ではなく、新聞の総発行部数も減少傾向にあります。今後、毎日新聞グループの経営基盤をより強固なものにするために、紙メディアを基幹としつつ、電子メディアにもさらに力を入れてまいります。そのために総合紙である「毎日新聞」とスポーツ、エンターテイメント紙である「スポーツニッポン」のメディアコンテンツを有機的、効率的に活用するための組織再編、新聞販売機能の効率化を行い、さらに強固な総合メディアグループとしての毎日新聞グループの形成を目的として、株式移転により共同持株会社を設立するものであります。

※金融庁HPへアクセス 毎日新聞社のEDINETコード:E00706
https://info.edinet-fsa.go.jp/E01EW/BLMainController.jsp?1296573429498

 「経営が行き詰っているのだから当り前だろう」と言われればそうなのですが、スポニチの経営内容も絶好調というわけでもなく…。朝日新聞では「持ち株会社の傘下に両社がぶら下がり、『メディアコンテンツを有機的・効率的に活用する』ほか、『新聞販売機能の効率化』を進めることを狙いとしている」と報じていますが、何か釈然としません。
 子会社や系列会社の合併(吸収)であればデイリー新聞社と神戸新聞社の例がありますが、持ち株会社となると読売新聞グループ本社(東京本社、大阪本社、西部本社、中央公論新社、読売巨人軍)のような形態になるのかなぁ…。そうすると、下野新聞や福島民報なども今後、毎日新聞ホールディングスへ集約されていくのでしょうか。

 ともあれ、昨年10月には毎日ビルディング(毎日新聞社の100%出資子会社)を吸収合併したばかりで、今度はスポニチと持ち株会社を設立するなど、経営のテコ入れを矢継ぎ早に行う毎日新聞社。現場で新聞発行を支えている人たちの努力が報われるよう、経営のかじ取りをしてもらいたいものです。

▽毎日新聞とスポニチ、持ち株会社設立へ(asahi.com 2/1)
http://www.asahi.com/business/update/0201/TKY201102010588.html

▽共同持ち株会社を設立 毎日新聞とスポニチ(スポニチ2/1)
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/02/01/kiji/K20110201000167970.html

◆1977年に毎日新聞社が新旧分離
 新旧分離は、企業が経営破綻あるいはそれと同等の状態に陥った際に、その企業が行っていた事業に対して、再建あるいは他社(スポンサー)への承継のために行われる私的整理手段のひとつである。
 「株式会社毎日新聞社」(旧法人)は、読売・朝日との熾烈な競争などで債務超過に陥ったため、1977年、新法人として「毎日新聞株式会社」が設立された。同年12月1日、旧法人は「株式会社毎日」に社名変更して債務返済に専念、新法人は「株式会社毎日新聞社」に社名変更し、旧法人から事業一切を引き継いだ。8年後に債務返済が一段落したことから、「スポーツ報知(報知新聞)と並ぶ現存する日本最古の新聞」の歴史を守るため、旧法人が新法人を吸収し、元に戻った。

posted by 今だけ委員長 at 02:40 | Comment(0) | TrackBack(1) | 時事ニュース
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