2011年01月24日

毎日新聞社 本紙と毎日小学生新聞の併読価格「ファミリーセット」を社告

 毎日新聞社が3月1日から毎日新聞と毎日小学生の教育用特別価格「ファミリーセット」を実施することになりました。けさ(24日付)の朝刊に社告が掲載されています。
▽教育支援ファミリーセット 定価5355円→セットで4975円に
http://mainichi.jp/corporate/info/news/20110124ddm001040078000c.html

毎日ファミリーセット.JPG 「ファミリーセット」という何ともベタなネーミングですが、毎日新聞と毎日小学生新聞とセットで購読する場合に、現行の二紙合算の月極価格より380円お得な「教育用特別価格」で提供するというもの。※統合版地区は定価4437円→セットで4057円

 今年4月から小学校で実施される新学習指導要領には、「新聞の学校教材化」が加えられており、歴史のある毎日小学生新聞のすそ野を広げ、本紙の販促にも貢献できるかもしれません。また、同社販売局の説明では、「弊社は『ファミリーセット』により、読者の経済的負担を軽減し、家庭で新聞を読んで頂くことにしました」としていることなどから、デフレ社会で就学児童を抱える世帯への教育支援、教材費軽減も考慮されているとも感じます。


 読売新聞社は21日、関東圏で読売KODOMO新聞(月額500円)を3月3日に創刊すると発表。
▽「読売KODOMO新聞」3月3日創刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110121-OYT1T00709.htm


 販売現場では「教育に新聞活用を!」の大合唱。就学児童のいる世帯へいかに購読をアプローチするかに躍起になっています。新聞業界はこれまで地道にNIE活動に取り組んできたのですが、今回のヒットは池上彰さんの「ニュースが分かる」効果が後押ししていること間違いなし。ホント新聞業界はPRベタというかマネジメントができていないなぁと感じます。

 しかし、販売現場にとっては販促活動の後押しとなるキラーコンテンツ。新聞社による「新聞の読み方講座」などのセミナーも含めて、就学児童を扶養している未購読世帯へのアプローチは重要ですね。

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2011年01月18日

リクルートのチラシ宅配サービス「タウンマーケット」がサービス終了

 2008年3月にリクルートがサービスを開始した「登録型」の無料チラシ宅配サービス「タウンマーケット」が2月25日発行号でサービスを終了することになったようです。

▽タウンマーケット・宅配サービス終了のお知らせ
http://www.recruit.jp/info/info20110117


 創刊からちょうど3年。小ブログでもその可能性についていろいろ考察してきましたが、サービス終了に至った理由を考えると、@売出し日を重視する媒体だけに週1回の宅配ではスポンサーの要望に応えきれなかったA宅配コスト(チラシ封入や宛名付け作業含む)を上回る利益が確保できなかったB総体的に折込広告(チラシ)の総量が縮小してきた―といったところでしょうか。
 リクルートは「近年の情報入手の動向として、WEBやモバイル・スマートフォンなどの利用が著しく増加。地域のチラシについても、インターネットやスマートフォンで見たい、という方が増えてきていることなどから、今回のサービス終了を決定致しました」と説明し、今後はタウンマーケット・WEBサービス(チラシ閲覧サイト『Town Market』)でサービスを継続するとしています。電子チラシについては既にDNPのオリコミーオ!、凸版印刷のShufoo!(シュフー)と大手印刷会社が展開していますが、印刷会社では新聞折込用のチラシとして印刷を受注しているスポンサーへの「付加価値」として、チラシのPDF画像を独自の「チラシのポータルサイト」へ提供しているだけであって、経費も掛らないのですが収益的に単体でビジネスになるとは思えません。

 いずれ、内需拡大のための広告産業が全体的に下落傾向であるために、消費が上向かなければ何をやっても仕組化されないというジレンマもあります。一方で、バブル期の消費動向が再来するなどと期待している人はいないと思いますが、ビジネスはチャレンジすることをあきらめた時点で下降線を辿るだけ。新聞販売店も読者からの信頼を最優先にしながら、果敢にチャレンジしていくしかないのです。
* * *
 リクルートつながりで先週末にはこんなネタもありました。
▽R25、大阪・名古屋版発行へ リクルートの無料情報誌(asahi.com 1月14日付)
http://www.asahi.com/business/update/0114/OSK201101140103.html


 若手男性向け無料情報誌「R25(アールニジュウゴ)」を、今月20日から大阪と名古屋でも発刊するとのこと。著名人のインタビュー記事やコラムなどは首都圏版と同じだそうですが、地域イベントなどは別版で掲載されるのだそうです。大阪版は7万部、名古屋版は3万部を発行。

 フリーペーパー業界も広告不況に苦しんでいて、R25は週刊から隔週へ、主要駅の留め置きスペースも縮小する一方で、全頁をウェブ版で提供したことなどから、「紙媒体の発行を止めるのでは」と囁かれていましたが、ナント勢力拡大です。すばらしい!

 以前、リクルートの方に夕刊の販促用(夕刊の定期購読者に毎週木曜R25・L25を折り込む)として「夕刊折込で配るから宅配版R25を仙台で展開できないか」と相談したことがあったのですが、その際に「うちはいいけど新聞社(広告局)から嫌われているからなぁ」とポツリ…。結構イケると思ったのですがペンディングしてしまいました。


 新聞の付加価値とは、宅配制度だとか本紙以外の特集号だとか、販売店からの云々というものだけと決めてかかると読者とのズレは広がるばかり。顧客のロイヤルティを高めるために何を提供するのが効果的か。流通部門は常に消費者目線で考えていかなければなりません。

▽電子チラシを考えてみる
http://minihanroblog.seesaa.net/article/68850396.html
▽リクルート チラシ広告を狙う
http://minihanroblog.seesaa.net/article/111636803.html

posted by 今だけ委員長 at 23:30 | Comment(3) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2011年01月15日

新たなビジネス展開と効率化によるコストカット 新たな時代の新聞経営

 新たなビジネスモデルを模索する新聞社と効率的経営に踏み込む新聞社。
 既存のビジネスモデルだけでは先が見通すことができない新聞産業ですが、インターネットを駆使したビジネス手法にばかりに目が向いて右往左往している新聞社が多い中で、新聞社が有する情報コンテンツを活用して収入アップを狙ったり、新聞配送体制を効率化して経費圧縮に乗り出したりする新聞社も増えています。

▽朝日新聞社、リコーとビジネス向け情報配信サービス開始
http://www.asahi.com/digital/av/TKY201101130112.html
 クラウドコンピューティングを利用して、複合機へビジネス情報を送るという仕組みです。グーグルのアラート機能を個々の社員がPCへ設定して情報をキャッチするより、(まだ日本では)プリントされたものを上席者から序列判を押して職場内の情報共有を図るほうが現実的な事業所も少なくありません。
 朝日新聞社は、自社コンテンツからビジネス向け情報を選んでA4サイズにまとめた「朝日新聞ダイジェスト」や災害や大事件が起きた時の「速報号外」を配信。新サービスに参加した通信社や専門紙計10社は、自社の紙面イメージを配信したり、独自に構成したダイジェスト版や特集紙面を提供したりする―そうです。観光業、衣料、鉄鋼、建設、自動車、食品などの業界紙も参加するとなれば、かなりの需要が見込まれるのではないでしょうか。
参加社=配信商品名】化学工業日報社=化学工業日報ダイジェスト▽観光経済新聞社=観光経済新聞ダイジェスト▽環境新聞社=シルバー新報▽時事通信社=時事速報上海便、時事通信金融財政ビジネス▽繊研新聞社=繊研新聞ファッション通信▽鉄鋼新聞社=鉄鋼新聞ダイジェスト▽日刊建設工業新聞社=日刊建設工業新聞ダイジェスト▽日刊工業新聞社=日刊工業新聞ダイジェスト▽日刊自動車新聞社=日刊自動車新聞エコカー最新情報▽日本食糧新聞社=日本食糧新聞ダイジェスト


▽新聞配送、帰路に紙運搬 日本製紙と河北新報社
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/01/20110114t12030.htm
 新聞輸送車両の活用は昨年4月、朝日新聞社がパナソニックと提携して片道便であった新聞配送車両の往復便(ラウンド便)に取り組みましたが、河北新報社では岩沼市に工場を置く日本製紙岩沼工場で製造する新聞用紙のうち小型サイズの巻き取り紙を、帰路に積み荷が空となった新聞配送の3tトラックで、約30キロ離れた仙台市泉区の河北新報印刷センターに運ぶラウンド便をはじめました。これまで日本製紙が負担(紙代に上乗せしてあると思いますが)していたであろう新聞用紙の輸送料金も圧縮されるのでしょう(輸送量の約18%をラウンド便で対応する計画)。
 輸送会社の従業員の労働条件も気になるところですが、2006年4月から施行された「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」(国土交通省)の一部改正により、一定規模以上の輸送事業者(特定輸送事業者)、一定規模以上の荷主(特定荷主)に対し、省エネルギー計画の策定、エネルギー使用量の報告の義務付け等の輸送に係る措置が新たに導入されました。それもあって、各社とも国土交通省へ何かしらのアピールをしなければならないという切羽詰まった状況も背景にあります。
 新聞配送は限られた時間帯に販売店へ新聞配送をするため、(積載量の問題もありますが)あまり効率的とはいえません。帰路も深夜時間帯なので荷受けをする物流センターも閉まっていますから、効率的配送システムは“言うは易し…”なのです。

* * *
 このほかのトピックスでは、専売店を持たない中堅規模の地元紙(完全セット販売)が4月から土曜夕刊を休止するようです。理由は広告が集まらないため紙代など制作コストの削減だとか。一部の経営幹部からは「夕刊廃止」まで話が出されたようですが、とりあえず土曜日の夕刊をなくして完全週休二日制に移行するとのこと。4月からということですが、当該の販売店では現時点で何も知らされていないようです。


 これまで経営状況が思わしくないと値上げで乗り切ってきた新聞業界(大手紙・地方紙)ですが、1994年以降17年間、値上げをせずに現状を維持することは不可能になってきました。環境が想像以上に変化してきたのだから当然なのですが、人口減、世帯数減、購読者減という市場(紙ベース)の先細りが予測されますが、守るべきものは死守しながら仕組みを変えていかなければなりません。

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2011年01月14日

週刊誌の広告、テレビ欄、マンガ、死亡記事の順によく読まれるのが「新聞」

現代語裏辞典.jpg
現代語裏辞典
著者 筒井康隆(文藝春秋)2,415円

 断筆宣言をしたりその後解除したり俳優業もこなす変人の筒井康隆さんが、変人らしく現代語を斜め後ろから(かなりエロく)パロッた現代風刺(?)。文藝春秋の「オール讀物」や月刊誌「遊歩人」に連載されたものを再編集したもので、昨年7月30日に発行されました。
東洋大准教授の水野さんから「こそっ」と教えてもらい、図書館に予約をして3カ月待ちでやっと読め(なぞり)ました。他人事だと笑えるのですが、新聞に関係ある用語の解説は「グサリ」とくるものがほとんど。唸りながらも笑ってしまうところが筒井さんのワザなのでしょう。

 新聞に関係するものを引用しますが、「今だけ委員長がこう言っている」なんて受け取らないでくださいね。たまには笑いネタもいいじゃないですか。
* * *
あさひ【朝日】まだ出ていないうちにくる新聞。
きじ【記事】わずかの事実に多くの誤りと推測を付加した自動的な報道文。
きしゃかいけん【記者会見】一挙に取材者と対面して時間の無駄を省く方法だが、それでもまだ単独インタヴューを望まれる。
きしゃだん【記者団】答えてもらえないことがわかっていながら質問しなければならない気の毒な集団。
ぎぜん【偽善】マスコミの振りかざす正義。
けいさいし【掲載紙】たいていは数日後に送ってくる。過ちは訂正できない。
げんろん【言論】権力、財力、腕力のない者の武器。ただしマスコミの言論のみは暴力となり得る。
こうこく【広告】あると邪魔だがないと寂しい。
ごほう【誤報】訂正記事は常に小さい。
じけんきしゃ【事件記者】事件を起こす記者。
じつりょくしゃ【実力者】マスコミに悪口を書かれているうちは真の実力者ではない。
ジャーナリスト【journalist】真実を非文学的に追及する人。
しゃかいがく【社会学】新聞記者志望のものが学ぶが、役には立たない。
しゃかいめん【社会面】子供の頃はマンガを読み、青年時代は三面記事を読み、老年になると死亡欄を読む。
しゃせつ【社説】これが社員全員の意見であると嘘をついている記事。
じゅうぐんきしゃ【従軍記者】@ピュリッツァー賞への第一歩。A死んでも良いと社に思われている記者。
しゅざい【取材】救いの神と歓迎されたり、情報乞食と罵倒されたりする仕事。
しんぶん【新聞】週刊誌の広告、テレビ欄、マンガ、死亡記事の順によく読まれる。
そくほう【速報】誤報が多い。
ぞくほう【続報】速報の誤報をさりげなく訂正する報道。
ダイレクトメール【direct mail】ゴミ箱に直行するメール。
ちょうかん【朝刊】これを読んでから寝る人もいる。
ちょうちんきじ【提灯記事】記者自らファンであるタレントのことを書いた記事。
とくだね【特種】野心で眼がギラギラさせている記者には絶対に転がり込まない。
はいかん【廃刊】編集者の志が高かったため。
びだん【美談】悲惨な記事がない時の埋め草。
ひょうげん【表現】自由であると皆が言い、自由でないことは皆が知っている。
マスコミ【mass communication】タレコミ、追込み、ツッコミ、聞込み、思い込み、早呑み込みの媒体。
よみうりしんぶん【読売新聞】中央公論新社の親会社。ナベツネ新聞。
りんてんき【輪転機】敵はバケツ一杯の砂。
ろんせついいん【論説委員】新聞記者の終着点。

posted by 今だけ委員長 at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2011年01月13日

前略 内山社長へ声なき声を伝えたい

 販売現場ではおとといから営業活動がスタート。以前は「松の取れないうちは営業へ行くものではない」と先輩から諭されたものですが、4日の仕事はじめから引っ越し業者が行き交い、フリーダイヤルにも「購読申し込み」が来るご時世。ライフスタイルの変化は昼夜だけではなく「盆暮れ」も問わなくなっていると感じます。

 各方面からの問い合わせもネット時代では昼夜を問わずメールに飛び込んできます。先日は東京都内のある販売関係者からこんな連絡が入りました。
 昨年9月から読売新聞社が改築のため大手町の社屋から銀座の仮社屋へ一時移転したが、仮社屋への新聞各紙の配達がそのエリアを管轄する各販売店から配達されるべきところを(これまでは丸の内新聞事業協同組合から一括配達していた)読売関連の即売会社(K徳社)から配達させていようだ。移転前の8月時点では各紙100部程度は発証されていたとあって、銀座エリアの関係販売店はそれを期待していたところ裏切られた形になっている。ある販売店主は『場合によっては訴訟も辞さない』といっているようだ―
とのこと。正月早々あまり穏やかではありません。


 まさか天下の読売新聞社がそんな姑息なことをするはずはないと思いますが、やり方次第では大口購読する企業(官公庁)が即売会社から納品を受けることも不可能なことでもない。例えばこういうことです。
 本来、即売会社は消費者への一般販売はできず、新聞を小売する店舗(キオスクやコンビニなど)へ納入する契約を新聞社と交わしているので、読売新聞社の各部署で購読する新聞の販売行為は基本的にできません。ただし、読売新聞社が社内に(偽装でも)社内売店(購買部)のような小売店舗を設け、そこへ各部署が買いに行く―ということも考えられなくもありません。即売会社は新聞を原価相当(7〜8掛け)で仕入れているわけですから、(情報提供者がいう即売会社が関連会社であればなおのこと)新聞社はこれまで支払っていた購読料を2〜3割コストカットできるとも考えられます。しかし、即売会社にも利益が出ないと商売にならないので、販売定価から原価を除いた3割の利益を1.5割ずつシェアすればメリットはあります。また、即売会社は「返品制度」もあるので(身内であれば)“ごまかし”もやる気になればできるわけです。ただし、誰も目から見ても不正常なことですね。


 一般常識からして新聞社が即売会社を経由して(理由は明確ではありませんがおそらく購読料の抑制)購読していることが事実であれば論外なこと。これが表面化すると官公庁など大量購入しているところからクレームも出るでしょう。内閣官房だけでも年間新聞代に4千万円を使い、その理由として「新聞は再販制度の対象であるため、競争性のない随意契約とならざるを得ないもの」といわれているのですから、こりゃ公取委も怒りますよ。
http://www.e-procurement-cao.jp/choutatsujouhou/pdf/2010.12.27%20na-2_01.pdf

 当該の販売店主は憤っているようですが、きちんと正規のルートを通じて改善を求めることが先決だと思います。「訴える」といっても、その理由が「本来得られるべき収入(購読料)が得られなかった」ということだけでは、ちょっと弱いような気もしますが…。


 ほかの新聞社の販売局などはどう見ているのかなぁ。ANY連合だから「知らぬふり」「さわらぬ神にたたりなし」なのでしょうか。このようなことを内山社長は知る由もないと思いますが、販売現場ではいろいろなことが起こっているものです。

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2011年01月04日

販売労働者サワダオサムの遺稿集となってはいるが…

  底辺から新聞を撃つ.jpg
底辺から新聞を撃つ―小説・毎日新聞不正経理事件他―
著者 サワダ オサム(いちい書房)1,800円+税


 2011年元日、年賀状に交じって届いたメール便。送り主は沢田治さんで開封してみると「底辺から…」と題された1冊の本がセンスよい装丁に包まれて届けられました。
「サワダ通信」の読者に贈呈します。カンパなど気遣いなされぬように願います
 沢田さんらしいひと言が添えられてありました。

 昨年5月15日号で休止した個人誌「壁」。そのなかにも「続・新聞幻想論」が連載されていたので、「封印してあることをいつか書く時がくるかもしれんなぁ」と語っていたことを思い出しながら、またそれが沢田さんの元気の源なのだと勝手な解釈をして頁をめくりました。
 300頁にわたる本文には1986年当時に毎日新聞社販売局で起きた不正経理事件を小説仕立てして描かれてあります。小説というからにはフィクションも含まれているのかと勘繰ってしまうものですが、これまで18年来の沢田さんとの付き合いから「嘘をつくと必ず喧嘩に負ける」と言ってはばからなかった負けず嫌いの澤田さんのことだから、事実に基づいて(人名は変えてありますが)書かれたものと思います。
 昔は「販売担当になると家1軒建つ」とか言われ、販売店に対する補助金などを裏金にして私腹を肥やした人が少なくないと先輩方から聞かされたものです。いまはそんな余裕もずさんな体質も改まったようですが…。その意味では当時、どこの新聞社(販売局)でも内包していたずさんな経理処理の問題であっただけに沢田さんは外部に対してではなく、新聞社内部へ向けて「値上げ反対」などのたたかうネタとして使っていたのだろうと想像します。

 エ
ッセイ集には22作品がエントリーされていて、新聞販売を題材にした幅広い著作の一文が引用されているので、業界外の人たち(作家)が見た“新聞販売現場”が臨場感たっぷりに記されていて読み応えがあります。
 そのほか、押し紙裁判での資料(陳述書)などが収められているので、新聞販売問題の資料としての価値もあると思います。あとがきには「遺稿集である」と書かれてありますが、もう2〜3冊は大丈夫でしょう。


 新聞販売問題を語るのはとても勇気のあることだと心底から思います。業界内部にいると「この業界を去る」と決意をした人か、すでに業界を去ったOBしか真実を語ることはありません。この不条理をため込みながら口をつぐみ会社員として生き抜く新聞社員、金の亡者と化す販売店主、そして団結もできない労働者…。
 沢田さんの不屈の精神を感じながら、新聞への信頼は紙面だけではなく売り方も、そして販売店との取引関係も正常でなければ真の信頼は得られないのだとあらためて思いました。「モラルハザード」の意味を噛みしめながら、自分で責任を持てる範囲で行動していこうと思います。

posted by 今だけ委員長 at 23:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2011年01月03日

2011年がスタート 新聞各紙をならべて感じること

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
 今だけ委員長が住むまちでは、気象予報が外れて配達作業に支障もなく穏やかな2011年の幕開けとなりました。
 日本海側の山陰や中国地方が大雪に見舞われ、元旦号の配達など大変ご苦労されたことと存じます。当事者の皆さまへお見舞い申し上げます。


 正月三が日は新聞をじっくり読めるので、各紙を比べながら評論したり、感動したり、仕事に使えそうなネタはスクラップしたりと、ついつい夜更かしをしてしまいます。ジャーナリストの上杉隆さんは「マスコミの発信は疑ってかかれ」とおっしゃいますが、元旦号の紙面を読んでいると「(読者へ)元気を取り戻そう」というメッセージが込められた記事(特集)が多種多様に盛り込まれていて、2011年の“自分”を考えるのに(読む時間も含めて)よいテキストだと思っています。
 各紙社説は、それぞれの持ち味というか姿勢が感じとれたものですが、朝日の社説がナベツネさんのお株を奪うような印象で、連合・古賀会長の消費税増税容認を大きく報じるなど、これまでと違った「進め方」を感じます。
 広告は昨年とさほど変わらずと感じますが、広告段数では朝日が60l超えで毎日が50lを割り込みました。また、昨年のマクドナルドのジャック広告(朝日)を読売も受注するなど、全面広告主もそう大差なく大手広告会社も新聞社は選別せずに「新聞(メディア)」へ広告を出稿(割り振り)したとうかがえます。合従連衡はまだまだ続きそうですね。
 紙面(記事)以外の広告受注や流通分野(印刷、発送、宅配)はパイを奪い合うのではなく、無駄を省いて適正なパイを分かち合う方が効率的で利益をもたらすこと間違いなしなのですが、ひとり勝ちを目論むのが人間の性。所詮、電博系の大手広告会社や代理店に頼らざるを得ない広告営業なのですが…。
 新聞社の方々の経営哲学は理解できませんが、今年も新聞産業内の効率化(業務提携等)はかなり進むと思われます。


 さて、皆さんは2011年をどんな年にしようと行動するのでしょうか?


・各社社説

□朝日新聞「今年こそ改革を―与野党の妥協しかない」
http://www.asahi.com/paper/editorial20110101.html
□毎日新聞「2011 扉を開こう 底力に自信持ち挑戦を」
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110101k0000m070070000c.html
□読売新聞「世界の荒波にひるまぬニッポンを 大胆な開国で農業改革を急ごう」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101231-OYT1T00503.htm
□日本経済新聞「世界でもまれて競争力磨く志を再び」
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE0E2EBE2E2E0E4E2E2E3E2E3E0E2E3E38297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D
□産経新聞「『ひこばえ』に思う国家再生」
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/110101/plc1101010203004-n1.htm
□河北新報「我慢の作法/逆境はねのける契機求めて」
http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2011/01/20110101s01.htm


・各社頁数と広告比率
▽朝日新聞:96頁(第4朝刊)
 広告比率59.2%(広告段数739/総紙面段数1248)
 全面広告主:岩波書店、講談社、新潮文庫、小学館、集英社、数研出版、H.I.S.、積水ハウス、日立、大和ハウス、花王、トヨタ、キャノン、サントリー、日産自動車、パナソニック、西洋ハウジング、アディダス、住友林業、ANIPLEX、EMI MUSIC、サッポロ、桑田佳佑、三井住友銀行、東日本ハウス、スターダストレビュー、五木ひろし、いきものがたりいきものがかり、丸美屋、ツーリスト、パーレーツオブカリビアン、資生堂、MSD株式会社、イブサンローラン
▽毎日新聞:76頁(第5朝刊)
 広告比率48.7%(同556/同1140)
 全面広告主:講談社、集英社、小学館、サントリー、積水ハウス、トヨタ、日産自動車、花王、大和ハウス、パナソニック、住友林業、トップアート、伊勢丹、東日印刷、資生堂、キャノン、サッポロ
▽読売新聞:104頁(第6朝刊)
 広告比率59.2%(同739/同1248)
 全面広告主:講談社、小学館、集英社、大和ハウス、アディダス、住友林業、キャノン、丸美屋、日立、積水ハウス、サントリー、トヨタ、日産自動車、花王、数研出版、H.I.S.、パナソニック、スカパー、20世紀FOXet、ナルニア国物語、いきものがたりいきものがかり、NHKオンデマンド、相棒、MSD株式会社、TYグループ、資生堂、ドリカムワンダーランド、パイレーツオブカリビアン、東京ドームシティ、マクドナルド、シュウウエムラ
▽日本経済新聞:100頁(第5朝刊)
 広告比率55.8%(同837/同1500)
 全面広告主:集英社、東和薬局、トヨタ、パナソニック、日産自動車、ファミリーマート、MJC、日立、キャノン、アウディ、コジマ電気、花王、UBS、大和ハウス、三菱UFJモルガンスタンレー証券、サントリー、日立A、NEC、IBM、コニカミノルタ、パナソニックA、サッポロ、BSジャパン、アイフルホーム、HNKオンデマインド、ブリジストン、大和ハウス、ミサワ、住友林業、トヨタホーム、積水ハウス
▽産経新聞:80頁(第4朝刊)
 広告比率53.9%(同5186/同960)
 全面広告主:集英社、積水ハウス、日産自動車、キャノン、大和ハウス、トヨタ、花王、東京理科大学、日本製粉、パナソニック、フジネットワーク、創価大学、フジテレビ、ポニーキャニオン、高松建設、パイレーツオブカリビアン、20世紀FOXet、日本コロンビア、鹿島、資生堂、丸美屋、サッポロ、ジョージア、アンファー株式会社
▽河北新報:88頁(第4朝刊)
 広告比率55.7%(同736/同1320)
 全面広告主:トヨタ、パナソニック、積水ハウス、東北三菱、さくら野、藤崎、ネッツトヨタ宮城、サントリー、トヨタホーム、大和ハウス、IDC大塚家具、ヤマダ電機、メガネの相沢、資生堂、ダイハツ、スモリの家、日産自動車、数研出版、ネッツトヨタ仙台、大井ジュエリー、利府ハウジングギャラリー、Fujiコーポレーション、なとりりんくうタウンジアス
※広告段数は今だけ委員長が独自に計測したものです。自社広告などは省いて算出しました。

・各紙に折り込まれたチラシ
☆朝日新聞:28種類
☆毎日新聞:15種類
☆読売新聞:27種類
☆日本経済新聞:13種類
☆産経新聞:11種類
☆河北新報:51種類
※折込チラシの種類は今だけ委員長が勤める会社(仙台市内中心部の事業所エリア)へ配達された各紙を計測したもので、各紙のチラシ枚数の平均などを称するものではありません。

posted by 今だけ委員長 at 09:13 | Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
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