今年もあと5日となりました。今年の世相を表す漢字が「暑」というだけあって、異常気象が年末ぎりぎりまで猛威をふるいました。私が住む町でも先週22日、大雪ではなく季節外れの大雨が降り(12月としては観測史上最大の123.5ミリを記録)しかも30年ぶりに12月の「雷」にも見舞われました。年の瀬を控えて営業の追い込みや帰省前の集金にと忙しさを増す販売店では、稼働日が1日減ってしまったようなものでした。外回りの商売は天候に大きく左右されるのですが、「元旦号の配達時だけは雨や雪が降らないように」と、すべての販売労働者が願っていることでしょう。
来年はどんな年になるのでしょうか?予想したところでキラーコンテンツが生まれるわけでないので地道に読者との距離を縮めていくしかないのですが、今だけ委員長が知りえた情報を整理し、さらに一歩踏み込んで予見するとこんな事が浮上しそうです(備忘録として)。
▽新学習指導要領に便乗した新媒体発行
Y新聞が来年3月に現在の「読売KODOMO新聞」をリニューアルして、子ども向けの新媒体を発行するそうです。発行エリアは関東地区で週刊。タブロイド16頁程度で、うち5頁は小学館が記事を提供するとか。価格は未定ですが、新学習指導要領に便乗して就学児童のいる無購読者(他紙購読者)への拡材として使われる可能性「大」と見ています。また、子ども向けの内容であれば「もち屋…」に任せるのが一番ですし、広告も一緒に取ってしまおうという戦略だと思います。紙面の枠売りというか小学館やベネッセなどの教育教材を提供する企業や学習塾からの広告出稿で製作コストもまかなおうという戦略は、一理も二理もありそうです。
▽課金型電子版の動向
日経に続き、A新聞でも年明け早々に電子版を発行するようです。日経と同じ戦略で「紙」の読者に比重をおいた売り方のようですが、なんと本紙とのセット販売のみで電子版単体の販売はしないという話です。日経と同じように本紙読者はプラス1,000円程度で電子版を購読することができ、課金はクレジットカード決済で発行本社管理。販売店へ約3割戻す(1契約につき300円程度)想定であるとすると、販売店による電子版の拡販にも力を入れるのかもしれません。2月にデモ版を配信し、4月から課金スタートというシナリオのようです。でも腑に落ちないこともあります。同社が運営する「WEB新書」との絡みや今年7月にソニー、凸版印刷、KDDIと共同設立し、11月24日に事業会社化した「ブックリスタ」のようなポータル機能があるのになぜそこで有料配信しないのか。なぜ「紙」にこだわり(紙を購読していない)スマートフォン系の顧客へ電子版を売ろうとしないのか疑問です。日経はシャープの電子書籍専用端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」からも電子版が購読できるサービスを展開しているのに…。電子版が「紙」のオマケになるような時代ではないと思うのですが真相はどうでしょう。Y新聞の電子版事業の仕切り直し後の動きも含めて、新聞社の課金型電子版の動向には目が離せません。
このほか、関東圏の地方紙の経営がかなりひっ迫しているという情報もありますし、10年に一度浮上する「再販問題」もどうなるのか。右往左往せずにじっくり自分たちの問題を考えてみたいものです。
今年はこのエントリで最後にしようと思っています。ご訪問をいただきありがとうございました。来年も孤軍奮闘?ではありますが、販売労働者の目線でコツコツと発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
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新聞産業界20年を振り返るC
2005年
1・13 NHK特別番組への政治介入改変めぐる朝日報道で、NHKは「改変事実ない」と説明
1・19 新聞協会、個人情報保護法に関し「見解」を公表、報道分野「個人情報を取り扱ううえで適切な措置を自主的に行う」ことを明記
1・25 毎日大阪、奈良女児誘拐殺害事件で販売所従業員逮捕受け販売局長ら処分
2・1 神奈川、自社記事をブログで公開、日本の新聞社で初
2・1 日刊工業、印刷を完全外部委託
2・1 NHK、番組への政治圧力の有無めぐり「報道は正当で放送法の理念にも合致」と朝日に回答書
3・1 日経、製作部門をすべて別会社に移管
3・5 読売と共同、イラクに記者派遣、英軍に同行取材
3・16 新聞協会、人権擁護法案に対し、メディア規制削除求め民放連と共同声明
3・20 九州北部で震度6弱の地震、西日本、朝日、読売が号外発行
4・19 朝日、消費者金融会社「武富士」の編集協力費受領問題で武富士に謝罪、社長ら6人を処分
4・29 滋賀で朝刊日刊紙「みんなの滋賀新聞」創刊
7・4 フジサンケイビジネスアイ、自社サイトでブログ開設
7・22 活字文化振興法案が成立
8・8 参院での郵政民営化法案否決、衆院解散受け、各紙が号外発行
8・29 朝日、田中康夫長野県知事らによる新党結成で虚偽メモを根拠に報道していたことが判明、取材記者を懲戒解雇、編集局長更送など処分
9・17 日刊紙「みんなの滋賀新聞」が4カ月半で休刊
10・1 産経、ネット紙面配信サービス「Net View(ネットビュー)」を開始
10・24 読売、ニュースサイト「ヨミウリ・オンライン」で音声配信を開始
11・2 公取委、特殊指定の見直しを表明、新聞協会は「現行規定の維持」を求める声明
11・14 毎日、愛読者サイト「まいまいクラブ」を開設
11・16 新聞協会第697回理事会、再販特別委の下に「特殊指定プロジェクトチーム」を設置
11・30 「新聞特殊指定プロジェクトチーム」が初会合、現行規定維持へ取り組み強化