2010年12月26日

来春に浮上するであろうネタを考えてみる/新聞産業界20年を振り返るC

 今年もあと5日となりました。今年の世相を表す漢字が「暑」というだけあって、異常気象が年末ぎりぎりまで猛威をふるいました。私が住む町でも先週22日、大雪ではなく季節外れの大雨が降り(12月としては観測史上最大の123.5ミリを記録)しかも30年ぶりに12月の「雷」にも見舞われました。年の瀬を控えて営業の追い込みや帰省前の集金にと忙しさを増す販売店では、稼働日が1日減ってしまったようなものでした。外回りの商売は天候に大きく左右されるのですが、「元旦号の配達時だけは雨や雪が降らないように」と、すべての販売労働者が願っていることでしょう。

 来年はどんな年になるのでしょうか?予想したところでキラーコンテンツが生まれるわけでないので地道に読者との距離を縮めていくしかないのですが、今だけ委員長が知りえた情報を整理し、さらに一歩踏み込んで予見するとこんな事が浮上しそうです(備忘録として)。


▽新学習指導要領に便乗した新媒体発行
 Y新聞が来年3月に現在の「読売KODOMO新聞」をリニューアルして、子ども向けの新媒体を発行するそうです。発行エリアは関東地区で週刊。タブロイド16頁程度で、うち5頁は小学館が記事を提供するとか。価格は未定ですが、新学習指導要領に便乗して就学児童のいる無購読者(他紙購読者)への拡材として使われる可能性「大」と見ています。また、子ども向けの内容であれば「もち屋…」に任せるのが一番ですし、広告も一緒に取ってしまおうという戦略だと思います。紙面の枠売りというか小学館やベネッセなどの教育教材を提供する企業や学習塾からの広告出稿で製作コストもまかなおうという戦略は、一理も二理もありそうです。

▽課金型電子版の動向
 日経に続き、A新聞でも年明け早々に電子版を発行するようです。日経と同じ戦略で「紙」の読者に比重をおいた売り方のようですが、なんと本紙とのセット販売のみで電子版単体の販売はしないという話です。日経と同じように本紙読者はプラス1,000円程度で電子版を購読することができ、課金はクレジットカード決済で発行本社管理。販売店へ約3割戻す(1契約につき300円程度)想定であるとすると、販売店による電子版の拡販にも力を入れるのかもしれません。2月にデモ版を配信し、4月から課金スタートというシナリオのようです。でも腑に落ちないこともあります。同社が運営する「WEB新書」との絡みや今年7月にソニー、凸版印刷、KDDIと共同設立し、11月24日に事業会社化した「ブックリスタ」のようなポータル機能があるのになぜそこで有料配信しないのか。なぜ「紙」にこだわり(紙を購読していない)スマートフォン系の顧客へ電子版を売ろうとしないのか疑問です。日経はシャープの電子書籍専用端末「GALAPAGOS(ガラパゴス)」からも電子版が購読できるサービスを展開しているのに…。電子版が「紙」のオマケになるような時代ではないと思うのですが真相はどうでしょう。Y新聞の電子版事業の仕切り直し後の動きも含めて、新聞社の課金型電子版の動向には目が離せません。

 このほか、関東圏の地方紙の経営がかなりひっ迫しているという情報もありますし、10年に一度浮上する「再販問題」もどうなるのか。右往左往せずにじっくり自分たちの問題を考えてみたいものです。

 今年はこのエントリで最後にしようと思っています。ご訪問をいただきありがとうございました。来年も孤軍奮闘?ではありますが、販売労働者の目線でコツコツと発信していきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

*****

新聞産業界20年を振り返るC
2005年
1・13 NHK特別番組への政治介入改変めぐる朝日報道で、NHKは「改変事実ない」と説明
1・19 新聞協会、個人情報保護法に関し「見解」を公表、報道分野「個人情報を取り扱ううえで適切な措置を自主的に行う」ことを明記
1・25 毎日大阪、奈良女児誘拐殺害事件で販売所従業員逮捕受け販売局長ら処分
2・1 神奈川、自社記事をブログで公開、日本の新聞社で初
2・1 日刊工業、印刷を完全外部委託
2・1 NHK、番組への政治圧力の有無めぐり「報道は正当で放送法の理念にも合致」と朝日に回答書
3・1 日経、製作部門をすべて別会社に移管
3・5 読売と共同、イラクに記者派遣、英軍に同行取材
3・16 新聞協会、人権擁護法案に対し、メディア規制削除求め民放連と共同声明
3・20 九州北部で震度6弱の地震、西日本、朝日、読売が号外発行
4・19 朝日、消費者金融会社「武富士」の編集協力費受領問題で武富士に謝罪、社長ら6人を処分
4・29 滋賀で朝刊日刊紙「みんなの滋賀新聞」創刊
7・4 フジサンケイビジネスアイ、自社サイトでブログ開設
7・22 活字文化振興法案が成立
8・8 参院での郵政民営化法案否決、衆院解散受け、各紙が号外発行
8・29 朝日、田中康夫長野県知事らによる新党結成で虚偽メモを根拠に報道していたことが判明、取材記者を懲戒解雇、編集局長更送など処分
9・17 日刊紙「みんなの滋賀新聞」が4カ月半で休刊
10・1 産経、ネット紙面配信サービス「Net View(ネットビュー)」を開始
10・24 読売、ニュースサイト「ヨミウリ・オンライン」で音声配信を開始
11・2 公取委、特殊指定の見直しを表明、新聞協会は「現行規定の維持」を求める声明
11・14 毎日、愛読者サイト「まいまいクラブ」を開設
11・16 新聞協会第697回理事会、再販特別委の下に「特殊指定プロジェクトチーム」を設置
11・30 「新聞特殊指定プロジェクトチーム」が初会合、現行規定維持へ取り組み強化

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2010年12月25日

日刊紙2010年総発行部数が23年ぶりに5000万部割り込む

 日本新聞協会経営業務部がまとめた「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」(2010年10月現在)の調査結果によると、スポーツ紙、業界紙を含む総発行部数は前年を103万991部(▲2.0%)下回り4932万1840部となったそうです。5000万部を下回ったのは1987年以来23年ぶり。
 発行部数は6年連続でマイナスしており、昨年と今年は100万部以上の減紙となりました。なかでもスポーツ紙の減紙幅(▲5.9%)が大きく10年連続のマイナス。地区別では人口動態や全国紙の進出具合にもよりますが沖縄県の落ち込みが最も大きく(▲6.9%)、次いで東京、大阪など大都市圏が続いています。


日本新聞協会ホームページより
▽2010年日刊紙 総発行部数4932万1840部
http://www.pressnet.or.jp/news/headline/110101_947.html


 新聞協会経営業務部はこのほど、2010年10月現在の「日刊紙の都道府県別発行部数と普及度」調査結果をまとめた。総発行部数は前年比(以下同)103万991部(2.0%)減の4932万1840部だった。6年連続の減少。2年連続で100万部以上減った。5千万部を下回ったのは、1987年以来23年ぶり。
 調査対象は、協会加盟の120紙で、内訳はセット38紙、朝刊単独68紙、夕刊単独14紙。前回の調査後、夕刊を休刊した北日本(09年12月末)と岩手日報(10年6月末)が朝刊単独紙に移行した。
 また、夕刊デイリーが09年12月に入会。一方、奈良日日が10年6月末で退会した。内外タイムス(リアルスポーツ)は09年11月末で除名となった。10年10月末で退会した日本繊維は、調査対象に含まれている。
 一般紙は1.6%減で6年連続、スポーツ紙は5.9%減で10年連続の減少となった。スポーツ紙は10年間で最大の落ち込み幅だった。
 セット部数は5.8%減で、20年連続の前年割れ。朝刊単独は0.4%減。夕刊単独は3.3%減だった。
 地区別にみると、昨年に続き全地区で減少した。沖縄は減少率が最も大きく6.9%減。以下、東京(3.5%減)、大阪(3.2%減)、四国(3.1%減)と続き、他の地区も2.3〜1.2%減少した。


 1世帯当たりの部数は0.92部で、3年連続で1部を割った。あくまでも各社の公称部数をカウントしたものなので、実際にはどの程度の世帯普及率(発表では0.92部)なのか確認するすべはありません。新聞社が提供する記事はネット上やテレビ、ラジオなどを通じて広く発信されていますが、媒体力をはかる指標はやはり発行部数。その部数を伸ばすために競争が生まれ、並行して無駄も生じるものです。発行部数の増減が販売収入はもとより広告収入に大きく影響を及ぼすわけですが、ホテルやファミレスへ無料(安価)で新聞を届けてまで(部数のかさ上げをして)部数維持が図れる資本力のある新聞社が値上げもせずに我慢比べをしている一方、体力のない新聞社は身を削り廃刊だけは免れようと、言論機能だけは維持させようと踏ん張っているのです。

 大新聞社の「赤字決算」が紙面を賑わせていますが、単年度赤字を計上したとてまだまだ潤沢な内部留保を抱えている新聞社も少なくありません。逆に小さいながらも地域住民から親しまれている新聞社こそ、年々深刻な問題に直面しているのだと感じます。そのような地域紙は従業員の労働条件もすこぶる高いわけではないのだから、値上げをお願いしても理解されると思うのですが…。それとも大新聞社と資本提携をして生き残りの道を模索するのも言論機能の維持のための手段だと思います。

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2010年12月20日

2010年の新聞界は人を幸せにすることができただろうか?

 2010年もあと11日。年齢とともに「カウントダウン」で盛り上がる歌番組より、「ゆく年くる年」を見ながら平和に年を越したいと思うようになったこの頃です。

 日付が変わったのできのうは、自分への褒美として馬場俊英さんのライブへ行ってきました。この数年、同じ年の彼の歌を自分の応援歌として聴いています。繊細な詞がとてもすばらしいのでおススメです。そんな馬場さんはライブ後、演奏した曲目が書かれた手作りの礼状を渡してくれます。今回はこんな事が書かれていました。

馬場俊英ライブチケット.jpg僕にもいろいろな時期があるのと同じように、すべての方に様々な時代があったと思います。苦しんだ日もあった。 悲しくて途方にくれた時代もあった。 幸せな日々があった。 不安でたまらない夜があった。 嬉しい時があった。 傷つき傷つけた時があった。
いろいろな時代がすべての人にありました。そんな中で、ときどきこうしてコンサート会場で出会い、音楽を通じて心で触れ合った夜の記憶が僕の宝物であり、未来への力になっています。
ある音楽家が「音楽は人を幸せにするためにある」「音楽は人の幸せに尽くすものだ」と話していました。15周年を迎えて、40歳を超えて、僕にもその言葉の意味がわかるような気がしてきました。

 今年もいろいろありましたが、もう戻ることはできない2010年。果たして新聞界は今年、人を幸せにすることができたのでしょうか?
 自己分析をするとマイペースながら少し無理をして1年間突っ走ったという感じです。職場も4年ぶりに営業部門へ出戻りました。変わりゆく読者の価値観を目の当たりにして試行錯誤の毎日が続いていますが、健康で1年を過ごせたことに感謝です。
 いろいろとお世話になった皆さま、訪問してくれた皆さま、今年1年どうもありがとうございました。


 昨年に引き続き、新聞協会報(10年12月14日付)が報じた「2010年報道界重要ニュース」(協会報編集部選定)を引用して、今年1年を振り返りたいと思います。
注:重大ニュースに順位づけはされていませんが、見出しの大きさなどを勝手に判断して並べています。


@日経が有料電子版を創刊―各社、ネット収益の道探る―
 日経は3月23日に「電子版」を創刊し、ニュースサイトの本格的な有料化にかじを切った。購読料は月4,000円。新聞本紙とのセット契約は5,383円(統合版地域では4,568円)とした。北日本、十勝毎日もサイトを有料化。朝日や共同のように、インターネット上のコンテンツ配信や課金の仕組みを提供する動きもみられた。
 新聞本紙での収益拡大が難しくなる中、日経は電子版を新たな事業の柱と位置付けた。伸び悩むインターネット広告収入の拡大も目指すとし、読者の属性や嗜好、閲覧履歴などに応じた連動型広告を導入した。
 セット契約の場合、読者は購読料を一括で日経に支払う。本紙購読料は日経が販売所の集金業務を代行する形となる。販売所の購読者情報を発行本社が把握できるようになったことも大きな変化に挙げられる。
 北日本は1月にニュースサイトを刷新。2月以降、閲覧を本紙契約者に絞った。配達区域外からは、月2,100円の利用料で閲覧できるようにした。十勝毎日も7月1日に有料サイトを開設。購読料は本紙と同額の2,500円とした。
 朝日は4月20日、新聞・雑誌記事の販売サイト「エースタンド」を本格オープン。毎日や時事も記事を提供している。共同は6月21日に携帯電話向け有料サイトのプラットフォーム「ニュースマート」を開設した。


A新聞社の提携、編集部門でも―記者の負担軽減、独自取材強化―
 新聞社同士の提携が、印刷や輸送にとどまらず、取材・編集部門にも広がった。4月1日には、毎日が共同加盟に合わせて地方紙12社から地域版向けの記事・写真の提供を受け始めた他、朝日と読売も鹿児島県の一部で相互配信を開始した。
 毎日は、地方紙各社の発行エリアのうち、通信部や駐在員を配置していない一部の市町村の情報を受け取っている。朝日と読売の提携も、支局や通信部に常駐者がいない地域が対象。記者の負担軽減や、独自取材の強化につなげている。
 地方紙間では、山陰と中国が1月4日から記事交換を始めた。発行地域が一部重なり、競争関係にもある両社の提携は注目を集めた。この他、紀伊民報から朝日への記事提供(4月)、読売と長野日報の記事交換(8月)が始まった。
 航空取材の協力も進んだ。共同は10月から、東北・関東圏で毎日と、関西圏で産経と提携。ヘリコプターを合同で運用し、カメラマンを交代で配置している。
 全国紙の地方紙への印刷委託も進んだ。3月8日に毎日と新潟、4月6日に読売東京と北日本、7月1日に朝日と河北が提携を発表。共同輸送は、毎日と産経が9月23日から千葉県西北部と埼玉県東部で、朝日、読売東京、日経が10月1日から埼玉県東・南部で始めた。

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2010年12月17日

特定支出控除の経費に「新聞代」が加えられた

 「企業は軽く、個人に重い税負担」と受け取れる2011年度の税制改正大綱が16日、閣議決定されました。なかでも新聞産業に関係あるものとしては、個人所得課税の特定支出控除の経費として「新聞代」が加えられることになりました。すでに11月9日の時点で政府税制調査会が特定支出控除へ新聞・図書代を加える方針であることは各メディアで伝えられていましたが、きのう、確定されたわけです。

 特定支出控除を調べてみると、サラリーマンは年間65万円の給与所得控除が認められおり、通勤費、引っ越し費用、技術・知識習得の経費、スーツ代など、サラリーマン業としての年間経費(65万円)とその支出項目が定められています。いわゆるサラリーマンの給与収入から特定の支出額を差し引いて税金を安くすることができる「特定支出控除」の対象に、新聞代が加えられたということです。


▽国税庁HPより
給与所得者の特定支出控除
 [平成22年4月1日現在法令等]
 給与所得者が次の1から5の特定支出をした場合、その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、確定申告によりその超える金額を給与所得控除後の金額から差し引くことができる制度があります。
 これを給与所得者の特定支出控除といいます。
 この特定支出とは、給与所得者が支出する次に掲げる支出のうち一定のものです。
1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のうち一定のもの
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出
4 職務に直接必要な資格(一定の資格を除きます。)を取得するための支出
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のうち一定のもの
 なお、これらの五つの特定支出は、いずれも給与の支払者が証明したものに限られます。
 また、給与の支払者から補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分に所得税が課税されていないときは、その補てんされる部分は特定支出から除かれます。
 この特定支出控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。
 その際、特定支出に関する明細書及び、給与の支払者の証明書を申告書に添付するとともに、搭乗・乗車・乗船に関する証明書や支出した金額を証する書類を申告書に添付又は申告書を提出する際に提示してください。
 なお、以上の書類のほかに給与所得の源泉徴収票も申告書に添付してください。
(所法57の2、所令167の3〜167の5)

http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1415.htm
※そのほか、特定支出控除に関する記事
▽給与控除、年収1500万円上限案 政府税調が最終調整(asahi.com 11月26日)
http://www.asahi.com/politics/update/1126/TKY201011250589.html
▽新聞代も控除対象に サラリーマン「特定支出」(YOMIURI ONLINE 11月10日)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/enterprises/manda/20101110-OYT8T00263.htm


 もともと利用者が極めて少ないと言われる同制度に、突如として新聞代が加えられたことへ疑問を投げかける評論家も少なくありません。「新聞業界のロビー活動だ」、「民主党が新聞社に餌を与えた」、「スポーツ紙も対象になるのか」などネット上ではこうした意見も出ています。もちろん新聞紙面には掲載されるはずもありませんが…。
 私が思うに、新聞業界が求めている(新聞購読料の)消費税の軽減税率の適用が認められないから、その落とし処として特定支出控除に加えたとも考えられすが…。うぅーん。でも“自己利益のためなら権力をも動かす新聞業界”なのでそれはないか…。
 そうだとすると(これも勝手に)、すでに新聞は高所得者しか読まない商品になったからとは言いませんが、今回の税制改革でこれまで高所得者に有利な給与所得控除に上限を設けたので、その見返りとして「新聞を定期購読」、「図書も中古ではなく新刊を購入」など必要経費が多い方への控除対象を拡充したとみるのが現実的でしょう。宝くじで3億円が当たるよりも稀な年間で10人足らずの超高所得サラリーマンが申告している制度なのですがね。

【追記】
 日経の図解がわかりやすく書かれています。読売や共同配信の地方紙など今回の改正に伴い「新聞も対象に・・・」との小見出しをつけて取り上げているところが目立つなか、朝日は1行も「新聞も」という表記は使っていません。なぜなのか?
▽特定支出控除、新聞など゙も対象に(日経web刊 12月17日)
http://www.nikkei.com/news/headline/related-article/g=96958A9C93819481E3E4E2E0E28DE3E4E3E0E0E2E3E29797E3E2E2E2;bm=96958A9C93819481E3E4E2E39F8DE3E4E3E0E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

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2010年12月14日

気配りのないチラシ配布は逆効果/新聞産業界20年を振り返るB

 最近、夜遅くにマンションの集合ポストへチラシを投げ込んでいるサラリーマン風の方が目に付きます。ポスト付近の掲示板には「許可のないチラシ・パンフレットの投函禁止」とシールが貼ってあるのに…。

 先日もスーツ姿のポスティングマンと遭遇しました。その方は一瞬、私の顔を見て住民ではないと見て再びチラシをせっせとポスティング。「ピザ屋じゃないし何だろう」と注意してみてみるとよく新聞折り込みも利用されるスポンサーでもあります。業種は不動産関係。すぐに捨てられることを覚悟してなのか、その「売ります・買います」系のチラシはコピー用紙に単色刷りで、あまり経費をかけていない(かけられない)と察しがつくのですが、新聞折込枚数だけでは「転換率(配布数に対する戻り率)」が足りないということなのでしょうか…。普及率も落ちているのでたぶん…。


 そのチラシを1枚いただいて内容を見てみると物件情報のほかに「チラシ配布スタッフ募集」とも表記されています。前出のおそらく社員であろうポスティングマンは「見てもらいたい」と念じて比較的丁寧にポスティングをされていたように感じたのですが、これが「何枚まいて幾らもらえる」というアルバイトだと数をこなすだけで、すでにチラシで一杯のポストへまたぞろチラシを押し込んでいくさまが予想され、逆にマイナスイメージを植え付けてしまうだけだと思います。せっかく作成したチラシなのですから、見てもらうためにはそれなりの工夫が必要なのですが、「とりあえず数千枚まけば1件は反応がある」という皮算用では逆に顧客からの不信感を買うだけだと思うのですがどうでしょう。


 チラシは新聞に折り込まれているから食卓まで届くわけで、新聞購読世帯だからこそのマーケティングも考えられるでしょう。あとは新聞販売店が作成するチラシ(新聞休刊日とか配達員募集など)の片面を活用するコラボ企画で経費を軽減するとか、集金スタッフからのチラシ手渡し作戦とか販売店に相談するといろいろなアイディアが出てくると思いますよ。多くの販売店ではマンションへチラシ等を配布する際に管理人へ確認してから配布するようになってきてますし、コソコソしながら仕事をしたくないものです。
 先日も夕刊に書籍販売のチラシを入れたところ、夜間にかけて電話が鳴りやまず一気に600件を超える購入申し込みがありました。まだまだ新聞折り込みの効力はあると感じた瞬間でした。


新聞産業界20年を振り返るB
2000年
1・1 陸奥新報が印刷局を廃止し、朝日新聞・日刊スポーツ・日本農業新聞の印刷受託業務を新会社の(株)朝日弘前プリンテックへ移行
2・1 読売、「Loppi(ロッピー)」で購読受付開始、全国紙5紙の購読申し込みが可能に
2・7 道新、函館新聞社の参入妨害問題で、係争終結への同意審決を申し出(同社の独禁法違反が事実上確定)
3・15 公取委、新聞販売勧誘時の上限を超す景品提供で和歌山の4店主に排除命令
3・24 読売、題字「北海タイムス」を取得
3・30 中央労基署、時事通信記者の過労死を認定
3・31 福島民友と福島民報、夕刊を休刊
4・1 購読料改定=朝日1部売り130円(20円上げ)、宮古毎日月決め1,785円(85)
4・1 函館新聞、朝刊紙に移行
4・3 読売、夕刊フジの受託印刷開始
4・5 読売、産経、相互委託印刷で合意
6・23 朝日、中国新聞記事の盗用が判明、読者に謝罪
7・8 読売、初のNIEセミナー開催
7・18 電通と共同、時事など5社、スポーツ総合サイト新会社「スポーツ・ナビゲーション」設立を発表
7・26 時事、サイトを一新、内外の最新ニュースを提供する「時事ドットコム」を開設
8・10 新聞広告のデジタル送稿を行う「デジタルセンド」が発足、118社が出資
8・15 公取委、新聞業景品提供ルールの改正を告示。9月1日施行
9・1 購読料改定=読売1部売り130円(20円上げ)、毎日1部売り130円(20)
10・1 購読料改定=京都、神戸1部売り130円(20円上げ)
10・3 日経と地方紙14社が共同サイト「AREA(エリア)21」を開設
10・12 新聞協会、再販制度に関する文書を発表、公取委に手渡す
10・14 毎日、「開かれた新聞委員会」を創設
12・4 読売、基本文字拡大、1段12文字、1ページ14段の新紙面
12・7 公取委、著作物再販で関係業界との論点を整理した「中間まとめ」を公表、新聞協会との議論では@都市部での戸別配達維持A過疎地での戸別配達と都市部との同一購読料維持B紙面の質の維持C言論の多様性、国民の知る権利―の4点に論点を整理


2001年
1・1 福島民友、社是と編集綱領を統一し「民友の誓い」を制定
1・1 共同、加盟新聞社のニュースサイト開設
1・4 朝日と日経、電子メディア事業提携に合意
1・9 道新、iモードで有料ニュースの提供開始
2・27 活字文化議員懇談会、再販制維持へ緊急決議
3・19 朝日と日経、iモードに共同サイト開設
3・20 読売、米シカゴ・トリビューン紙と提携、全米主要約40紙の独占利用権も獲得
3・21 活字文化議員懇談会、再販維持を求める声明を採択
3・23 公取委、「再販、当面維持」と発表
3・25 朝日、毎日、読売、日経の新聞4社、参院選挙の集票作業を外部に委託
3・31 英文毎日が休刊、ネット新聞として再出発
4・1 情報公開法が施行
4・1 購読料改定=四国1部売り130円(20円上げ)、熊本日日1部売り120円(20)、ジャパンタイムズ月決め3,900円(480円下げ)、1部売り150円(10円下げ)
3・1 山形、「紙面審査会」を設置
4・9 産経と大阪読売、相互委託印刷を開始
4・19 日経、有料のビジネスポータルサイト事業を8月から開始
5・1 購読料改定=道新1部売り130円(20円上げ)
6・1 購読料改定=茨城1部売り120円(20円上げ)
6・11 東奥、「報道審査会」を創設
7・1 河北、「紙面委員会」を創設
8・29 産経、9月から本紙と系列誌のセット価格設定
9・1 購読料改定=産経1部売り100円(10円下げ)
9・1 産経、「電子配達(ニュースビュウ)」のサービス開始
9・11 米同時多発テロで米116紙が号外
9・18 朝日、週刊タブロイド紙「SEVEN(セブン)」を創刊
10・23 米ニューヨーク・タイムズ社「電子新聞」の配信開始
11・6 朝日の週刊新聞「SEVEN」第8号で休刊
11・7 産経、02年4月から東京本社の夕刊廃止、朝刊単独紙に移行と発表
11・21 改正商法が成立、02年4月1日から施行、決算公開開示がネット上で可能に
12・1 皇太子妃ご出産で各紙が号外
12・4 公取委、再販制度運用で意見交換する第1回「著作物再販協議会」を開催

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2010年12月10日

企業(組織)は余裕がなくなると人材が育たない/新聞産業界20年を振り返るA

 きょうのネタは、「Chikirinの日記」というブログがオモシロかったので紹介します。
▽「超てきとー)メディア別・入社時代別 人生総括表」
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20101209
 11月30日に新宿・住友ホールで行なわれた、BLOGOS1周年記念シンポジウム「メディアの未来像」(池田信夫さん、田原総一朗さん、蜷川真夫さんのパネル討論)へ参加された感想などを書かれたブログなのですが、「組織としてのメディアに余裕がなくなり人を育てることができなくなっている」という観点で、既存メディアを時代(世代)ごとに独自の分析をされています。
20101209163731.jpg ・60年代・・・新聞がメディア王者の時代
 ・70年代・・・新聞が王者
 ・80年代・・・逆転の時代
 ・90年代・・・テレビが王者の時代
 ・2000年代・・・テレビが王者
 ・2010年代・・・逆転の時代 (←今年がこの10年の初年)
 ・2020年代・・・ネットが王者の時代
 時代とともに移り変わっていく「王者」?の座をオモシロおかしく解説されているのですが、“なるほど”とうなづける内容でした。ただし、その基準(王者たる)が「媒体の接触時間」とか「儲け」というキーワードに準じているようにも感じます。
 確かに、新聞社(特に編集部門)のOJTは軍隊方式とよく言われますが、職業としてのさまざまな知識や能力の6割は企業(組織)で育まれ、残りの4割が市場(取材現場・取材先でのコミュニケーション)で自身を磨き、個々のスキルアップに連動して商品力も高まっていくもの。
 でも今は規模の縮小などで人材の育成より前に「発掘」することもままならないのかもしれません。産業の成長が停滞するとすべてが悪循環に陥るということへの警笛なのでしょう。でもメディアの捉え方は人によって千差万別。私が過去に新聞労連主催の就職フォーラムで知り合った学生さんの中には、「他のメディアではなく、あえて新聞社に入りたいのです」という方も少なくありませんでしたが…。



新聞産業界20年を振り返るA
1995年
1・1 購読料改定=九州スポーツ3,000円(50円上げ)
1・17 阪神大地震で、新聞各紙が相次いで号外発行(全国紙のほか地方紙28社)、被災地の神戸新聞は京都新聞などの協力を得て発行を継続
2・24 政府の規制緩和検討委員会が再販制度に触れた報告書をまとめる
3・1 購読料改定=夕刊フジ2,900円(300円上げ)、内外タイムス3,100円(300)、東京スポーツ3,100円(200)
3・6 神戸新聞、6日付紙面から完全自社製作
3・20 地下鉄サリン事件で各紙号外(22日のオウム真理教強制捜査でも号外)
3・30 警察庁長官狙撃事件、各紙が号外発行
4・1 購読料改定=釧路2,800円(200円上げ)、中日スポーツ3,100円(200)、西日本スポーツ3,000円(100)
4・28 夕刊紙「新大阪」休刊
5・3 憲法記念日で朝日・読売が社説などで提言報道
5・12 読売、松本サリン事件報道で第一通報者に謝罪の記事掲載(朝日は4月21日)
5・16 オウム真理教教祖麻原彰晃逮捕で各社号外発行
6・1 購読料改定=サンケイスポーツ、報知、日刊スポーツ、スポーツニッポン各3,200円(200円上げ)、東京中日スポーツ2,900円(300)、名古屋タイムズ2,200円(200)、中日スポーツ2,400円(200)
6・26 共同、松本サリン報道で第1通報者に対する「おわび」を27日朝刊用に配信、加盟39社が掲載
7・1 購読料改定=日本工業4,300円(300円上げ)
7・25 公取委の「政府規制等と競争政策に関する研究会」の再販問題検討小委員会(座長・金子晃慶応大法学部教授)、新聞・書籍・雑誌・音楽用CDなど著作物の再販制度に関する中間報告書を発表
7・27 行政改革委員会の規制緩和小委員会は著作物の再販制度など40項目につき規制維持と規制緩和の意見併記の「論点」を公開
7・31 活字文化懇談会(新聞、出版界、文部省で構成)は再販制度問題検討小委の中間報告に対して「再販制度の趣旨は不変」などの見解を公表
8・15 戦後50年で各紙50年を振り返る企画・特集紙面提供
11・27 新聞協会、書籍出版協会、雑誌協会は行革委および同規制緩和小委員会に3団体連名で「著作物再販原則廃止の方向」撤回の申し入れ書提出
12・1 購読料改定=デイリースポーツ(東京)2,900円(200円上げ)、八重山毎日1,650円(300)、宮古毎日1,700円(300)、西部日刊スポーツ、スポーツニッポン(西部)、九州スポーツ各3,100円(100)
12・7 行政改革委員会の規制緩和小委員会、著作物の再販売価格維持制度について「引き続き検討課題として、議論を深め、公正取引委員会での検討を求める」とした規制緩和の報告書をまとめた


1996年
1・8 日経4紙、文字拡大し、1行12字に移行
1・9 日経、ホームページを開設(30日 東京、東京中日スポーツも開設)
1・22 米ニューヨークタイムズ、電子新聞事業を開始
3・1 毎日、携帯型の電子新聞をスタート
3・1 日経、米シリコンバレーに支局開設
3・1 日経、電子新聞の公開実験
3・2 東奥、北國が気象庁の「地方天気分布予報」、「地域時系列予報」を受け、きめ細かい天気図を掲載
3・13 福島地検、殺人容疑者の捜査に支障と福島民報の出入りを禁止(15日 福島民報、取材拒否に抗議)
4・1 秋田魁、「さきがけスポーツ」を発刊
4・1 鎌倉市、「広報メディアセンター」を開設
4・1 毎日、主な取材記事に署名入り
4・1 購読料改定=大阪のサンケイスポーツ、スポーツニッポン、日刊スポーツ、デイリースポーツ、報知各紙3,200円(200円上げ)
4・29 米ウォールストリートジャーナル、ウェブ上で同紙記事サービスを開始
5・1 購読料改定=九州の日刊スポーツ、スポニチ、九州スポーツ、西日本スポーツ各3,100円(100円上げ)
5・14 毎日、有料の電子新聞サービスを7月から開始と発表
5・20 産経、「産経新聞インターネット版(産経Web)」を開設
6・5 渡辺恒雄再販特別対策委員長が衆院規制緩和特別委で「再販の必要性」をあらためて強調
6・7 郵政省、通信と放送制度の抜本改正を提言
7・1 購読料改定=道新スポーツ2,900円(200円上げ)
7・11 河北と岩手日日が災害時援助協定を締結
7・20 アトランタ五輪開会式の報道で、33紙が祝日に夕刊、9紙が号外を発行
7・26 第1回NIE全国大会を東京・内幸町のプレスセンターホールで開催
8・15 朝日、「人材センター」を新設
9・1 地方紙16社、「地域新聞マルチメディア・ネットワーク協議会」を発足
9・3 最高裁、京都市の記者クラブ電話代など公金負担は許容範囲の判決
9・4 新聞協会第591回理事会、再販廃止への反論提出を了承
9・8 沖タイ、琉球両社、沖縄基地整理・縮小の是非問う県民投票をインターネットで速報
9・20 毎日、報道写真のインターネット検索サービスを開始
9・21 米ウォールストリートジャーナル、記事情報サービスを有料化
10・1 購読料改定=大阪新聞2,600円(300円上げ)
10・1 新聞協会、ホームページ「プレスネット」を開設
10・2 新聞協会、横浜市に設立する展示施設の正式名称を「日本新聞博物館」、愛称を「ニュースパーク」に決定
10・16 産経東京、新聞広告の日関連で異例の“白紙広告”
10・17 日経テレコン、97年1月からサービス拡充、写真、映像、音声盛り込む
10・20 衆院選で、朝日北海道支社などの出口調査の結果が政党に漏えい
10・25 新聞協会、再販維持を求めた意見を行革委規制緩和小委に提出
11・1 購読料改定=夕刊フジ3,300円(200円上げ)、内外タイムス3,300円(200)大阪新聞2,600円(120)、大阪スポーツ3,300円(200)
11・5 北海道新聞、函館地区に別刷り夕刊「函館新聞」を新設
11・7 山梨日日、日本の新聞社として初の古紙リサイクルセンター完成
11・13 新聞協会第593回理事会、渡辺恒雄理事に再販対策特別委員長委嘱を確認
11・20 日刊工業、購読用「プリペイド・チケット」を発売
11・20 新聞協会、規制緩和小委で再販維持を求める意見陳述
11・28 朝日、「統合型」電子情報サービス「アサヒ・コム・パーフェクト」を有料で開始
12・1 購読料改定=伊勢2,450円(350円上げ)
12・5 行革委、13分野51項目の規制緩和策を盛り込んだ報告書をまとめる、再販の結論は先送り、新聞協会小池唯夫会長が「制度維持の意見軽視」との談話発表
12・16 行革委、再販と情報公開法で意見書を橋本首相に提出
12・24 毎日、電子メールで有料情報サービスを開始

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2010年12月09日

新聞産業界20年を振り返る

 すっかり冬めいてきました。まだ積雪はないものの日照時間も短く、新聞の配達、集金、営業活動も厳しさを増すこの時期、朝布団から出るのがつらいだろうに、真っ暗ななかを自転車やバイクで新聞配達をしていただいているスタッフの皆さんには、あらためて敬意を表します。ご苦労さまです。
 最近こう思うのです。人をコストとか労働力という言葉に置き換える人が増えたなぁと。人をそのようにしか思わない人は結局、自己保身のためだけに生きているのだなぁと。世知辛い世の中になってきましたね。

 日本新聞労働組合連合・東北地方連合からの依頼(50周年誌を発行)で新聞産業の20年をまとめていたのですが、校正などをいただき何とかカタチになりました。
 日本の新聞業の歴史は140年とも150年ともいわれますが、今だけ委員長がこの業界に入ってからちょうど20年という節目にあたるため、自分が歩んできた新聞産業の20年を振り返ることができました。

 新聞産業の年表的なものはネット上ではほとんど見られません。新聞関係者は「紙」(年鑑などを発行)で歴史を綴るのが大好きであるということと、あまり自分たちの産業内で起こったことは公表したくないという閉鎖的なところがオープン化されづらい要因のように感じます。
 新聞労連東北地方連合50周年誌の発行は来年4月とのことですが、発行に先がけて新聞産業20年の出来事を“小出し(笑)”に掲載していきたいと思います。なお、掲載するものは、日本新聞協会発行の日本新聞協会五十年史、同六十年史、新聞研究などの資料を参考にし、個人の取捨選択により選別したものであることをご了承ください。


◆1990年
3・20 第362回新聞公正取引協議委員会がクーポン広告規制案を承認
3・30 マスコミ7業種の事業税経過措置を含む地方税の一部改正案可決成立
4・1 購読料金改定=ジャパンタイムズ4,300円(490円上げ)、日刊スポーツ北海道2,400円(140)奈良2,470円(470)
4・5 日米構造協議の日本側中間報告で流通制度の改善施策「景品および広告規制」の中で「新聞業のクーポン付き広告を本年夏までに実施するようにする」と発表
4・16 フクニチ新聞社、福岡地裁に和議を申請
5・2 毎日、鳥栖工場輪転機始動式
5・8 読売、鳥栖工場輪転機始動式
5・14 読売、江東工場が本格稼働
5・21 朝日、福岡工場が本格稼働
6・8 公取委、福岡の朝日、毎日、読売、西日本の4新聞販売店に排除命令
6・21 公取委の「流通・取引慣行等競争政策に関する検討委員会」が「流通・取引慣行と競争政策」を発表
9・5 新聞協会第552回理事会、「クーポン付き広告に関する規則案」ならびに「同運営細則案」を承認。10月から実施
9・28 新聞協会など広告・報道関係8団体が自民党税調に広告課税反対の要望書提出
10・1 新聞のクーポン付き広告実施
10・16 朝日がニューヨーク・タイムズ社と業務提携契約を締結、日刊情報紙「タイムズ・ファクス」を11月1日から日本で販売と社告
11・1 購読料改定=北羽新報1,640円(200円上げ)
12・1 購読料改定=九州のスポーツ紙3紙、日刊スポーツ2,500円(130円上げ)、スポーツニッカン2,500円(130)、九州スポーツ2,600円(130)
12・18 坂本堤弁護士一家救出のための懸賞金広告が朝日、読売、毎日に掲載される


◆1991年
1・1 購読料改定=電波4,900円(680円上げ)、神奈川2,500円(230)
1・17 湾岸戦争報道で各社(64社)号外発行
2・1 購読料改定=産経=3,100円(320円上げ)、夕刊フジ2,570円(310)、内外タイムス2,500円(300)、大阪2,500円(150)
2・24 米・多国籍軍がクウェート解放のため、地上攻撃に突入で48社が号外発行
2・28 米・多国籍軍がイラク軍への攻撃停止、湾岸戦争終結で41社が号外発行
3・1 長崎新聞社と長崎地裁の建物に何者かが銃撃
4・1 購読料改定=日刊スポーツ、大阪日刊スポーツ、サンケイスポーツ、報知、スポーツニッポン各2,700円(230円上げ)、日本海事6,180円(515)、新大阪2,200円(200)、関西2,000円(200)、中日スポーツ1,900円(260)、デイリースポーツ2,500円(200)、デイリースポーツ大阪2,700円(230)、大阪日日2,250円(250)
4・1 新聞のクーポン付き折り込み広告、解禁
4・7 大阪新聞、日曜日発行分(即売)を休刊
5・1 購読料改定=道新スポーツ2,200円(200円上げ)、日刊スポーツ、スポーツニッポン、報知北海道、各2,600円(200)
5・24 政府、「訪問販売法の指定商品に、株式会社または有限会社が発行する新聞紙を追加する」との訪問販売法施行令を閣議決定(7月1日施行)
6・1 日本新聞学会、日本マスコミュニケーション学会へ改称
6・3 長崎県雲仙・普賢岳の火口で大規模な火砕流発生、カメラマンなど報道関係者14人を含む43人が死亡・行方不明
7・1 購読料改定=紀伊民報1,300円(270円上げ)
7・11 公取委、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(ガイドライン)公表
7・29 公取委、「政府規制等と競争政策に関する研究会」、独占禁止法の適用除外制度の見直しを提言した報告書をまとめる
8・19 ゴルバチョフ・ソ連大統領失脚で33紙が号外を発行
9・1 購読料改定=岩手日日1,900円(200円上げ)
10・1 購読料改定=デーリー東北2,100円(250円上げ)
11・1 購読料改定=日本工業4,000円(500円上げ)、日刊スポーツ(西部)2,600円(100)
12・1 購読料改定=日刊工業4,200円(500円上げ)、中部経済3,000円(330)山口1,900円(400)、スポーツニッポン(西部)2,600円(100)、九州スポーツ2,700円(100)


 

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2010年12月04日

電子書籍は著作物再販制の対象とならない―を考察してみる

 著作物再販適用除外制度(著作物再販制)に関連するネタを国立国会図書館の公式サイト「カレントアウェアネス・ポータル」が取り上げていたので、もう少し同制度について考察してみたいと思います。

 公正取引委員会は、電子書籍を著作物再販制の対象にはならないと、公式HP「よくある質問コーナー」(独占禁止法関係)で回答しています。その理由として「著作物再販適用除外制度は、独占禁止法の規定上、「物」を対象としています。一方、ネットワークを通じて配信される電子書籍は、「物」ではなく、情報として流通します。したがって、電子書籍は、著作物再販適用除外制度の対象とはなりません」というもの。
 独占禁止法第23条4には「著作物を発行する事業者又はその発行する物を販売する事業者が、その物の販売の相手方たる事業者とその物の再販売価格を決定し、これを維持するためにする正当な行為についても、第1項と同様とする」とあります。確かに再販制度はメーカー(新聞社や出版社)がディーラー(販売店や書店)に対して、顧客(読者)へ販売する際の新聞購読料や書籍の定価販売を守らせても独禁法違反の適用を除外することを定めた制度なので、「物(商品)」の流通過程における解釈からすると公取委のいう電子書籍は対象外ということになるのでしょう。

 おさらいをしますが、著作物とは、著作権法に定めるすべての著作物ではなく、書籍、雑誌、新聞、音楽用CD、レコード、音楽用テープの6品目とされていますが、同じ著作物でも映像ソフト(ビデオ、DVD)、コンピュータソフト(「ソフトウェア」と呼ばれるもの)、ゲームソフトに加えて、ダウンロード形式により販売される電子データも著作物再販制の適用商品には含まれません。また、再販商品であっても非再販商品をセットにして再販商品として定価で販売することは認められないと定めています。
 そうなると日本経済新聞が今年3月23日に創刊した「電子版」と新聞のセット販売(日経Wプランとして価格設定)については、著作物再販制が適応されないわけですから、販売店が「日経Wプラン」の価格を自由に決められるということになります。ですから、「日経Wプラン」の購読者は料金を販売店による集金ではなく、クレジットカードで日本経済新聞社へ支払うシステムになっているのです(紙の購読料は日経本社から販売店へ支払われる)。そうはいうものの、このご時世ですから販売店が独自に値下げ(値上げ)をして部数拡大のために打って出ることなど考えられませんし、特殊指定や片務的契約書によって販売店のテリトリーも含めてすべて発行本社に包囲されているわけですからドラスティックに変わる要素はないとみるべきでしょう。
 新聞社がウェブで自社コンテンツを販売・課金システムを導入する場合には、(紙とのセット販売などの場合)著作物再販制のことも検討された方がよいかもしれません。


 さて、本題に入りますが、そもそも著作物再販制が独禁法の適用除外として認められた背景には、著作権法による権利の行使と認められる行為に対しては、独禁法(再販禁止)を適用しない―と解すこともできます。電子書籍の流通形態が「物」であるかどうかとの解釈で、適用の可否を決めてかかるのはいささか矛盾が生じるのではないでしょうか。著作権法第1条には「この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする」とある通り著作者の権利と保護を定めた法律なので、電子書籍であっても著作物として保護されるべきものであれば著作物再販制が適用されてしかるべきではないかとも考えるのです。著作権法第12条2(データベースの著作物)では「データベースでその情報の選択又は体系的な構成によつて創作性を有するものは、著作物として保護する」とあります。
 新聞の場合はどうかというと、新聞を編集著作物という括りにした場合は同法の同じく12条(編集著作物)で「編集物(データベースに該当するものを除く。以下同じ。)でその素材の選択又は配列によつて創作性を有するものは、著作物として保護する」とあるので、電子新聞は適用にならないような気がします。電子新聞の流通は新聞社が独自に行っている場合がほとんどですが、株式会社ウェイズ・ジャパンが運営する「新聞オンライン.com」(ネットで読む新聞ポータルサイト)などは各紙の電子版を一般ユーザー向けに販売しているディーラーと解されるので、その辺はどうなるのかなぁと。いずれ法的文書は解釈しづらく記されてあるし「データベース」って…その定義も陳腐になっていると感じます。

 ともあれ、著作者が出版社へ「電子書籍も指定した価格で販売してほしい」と求めれば(そのような契約をすれば)電子書籍であっても著作物再販制が適用されるのではないかとも考えたりするのです。ただし、消費者に対する合理的な理由はなかなか見つけ出せませんが、ネットのタダ文化が広がることは著作を生業にしている人たちにとって決してよいこととは思えません。
 図書館で順番待ちをせずに誰でもオーダーすれば国立国会図書館国会に蔵書されている本がすぐに読めることは望ましいことだと思いつつ、文化的価値を提供してくれる人たちの職業は守らなければ…と思っています。

 公取委は前回の再販制度撤廃を見送った1998年3月31日に「著作物再販制度の取扱いについて」を公表したのですが、その中に消費者利益確保の観点から「再販制度の利用・態様についての発行者の自主性の確保」を是正するよう業界に求めました。
 ネット社会になって公取委の思惑通りに世の中が進みはじめています。作家の村上龍さんが11月4日、電子書籍の新会社「「G2010」を設立しました。ネット上では誰でも自分が書いた「書籍(の類も含めて)」を発信することが可能になりましたが、例え優秀な作品であっても販売まで一人でこなすのは大変な作業(趣味は除く)。出版社との二人三脚でないと電子書籍であっても正当な対価を得られないというのが現状のような気がします。
 文化的価値を提供しうる人が正当な対価を得るための職業を守るために、再販制度は必要なのかもしれません。

 再販ネタついでに昨年発行された新聞労連産業政策研究会の第二期報告書「新聞2009 明日への道標」から、著作物再販協議会の委員を務めた法政大・岸井大太郎教授のインタビュー記事を引用します。続きを読む
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2010年12月03日

新聞販売店のインフラ機能の活用法とは

 毎日の販売店も実験とはいえよく引き受けたなぁ―というのが第一印象でしたが、業界紙にこんな記事が掲載されていました。


毎日とファミマ 商品宅配実験「買い物弱者」に貢献
スキャン.jpg 毎日新聞社とファミリーマートは、共同で商品の宅配実験を実施することで合意し、25日発表した。ファミリーマートの店舗で商品の注文を受け、配達業務などを毎日新聞の販売店が担当する。食料品をはじめとした日常の買い物が困難な「買い物弱者」への貢献も期待される。
 12月に大阪、堺両市内の毎日新聞販売店14店舗とファミリーマート直営8店舗で実験を開始する。当面は、店舗近隣にあるオフィスへの昼食の配達から始め、その後、お年寄りなど個人宅への宅配も行う計画になっている。
 両社はCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)のTポイント提携企業で、毎日新聞社は地域に密着した販売店の活性化、ファミリーマートは店舗以外での新たな販売チャネルの構築を目指す。
 経済産業省の「地域生活インフラを支える流通のあり方研究会報告書」によると、日常の買物が困難な状況にある「買物弱者」は約600万人と推計され、増加傾向にある。農村部での過疎化による商店の撤退、都市部での外出困難な高齢者の増加などによるもので、都心部のオフィス街でも、昼食などの買い物に不便を感じている人が多いという。
 このため両社は、双方が持つインフラを活用した宅配事業を通じて、買い物の不便解消に努めることにした。(新聞通信 11月29日付より引用)

 シミュレーション図によると通常通信販売との差別化ポイントとして「配達員によるダイレクトコミュニケーション営業可能(確実に商品が届く→消費者の安心感)」と表記されていますが、販売店からすると新聞配達のインフラには乗せられないので、専業スタッフの活用がポイントになりそうです。専業スタッフのコミュニケーション力というか「サザエさんの三河屋(サブちゃん)のようになれる人材がいるかどうか」という問題もあります。最近、新聞販売店が「貢献」という言葉を必要以上に使っているように感じますが、労働力への対価が支払われる以上、貢献ではなく儲けがなければ仕組化されません。
 もうひとつは「営業およびパンフレットポスティング」によって(販売店側が)どの程度の注文が取れるのかは未知数。毎日1,000円程度の食材(弁当2つに飲料水)を届けて手数料200円では割高感が強い。といってコンビニで1週間分の食材をまとめ買いができるはずもない。コンビニで取り扱う商品のほとんどはバイクに積載できるので、一度に4〜5件分の配達は可能かもしれませんが…。

 前述したように新聞配達のついでに届けることも可能ではないかというのは机上の理論。販売店とコンビニが併設すれば作業効率もあがると思いますが、薄利(配達手数料)であれば多売するしかないわけです。その需要があるのかどうか、24時間営業が売りのコンビニの優位性が発揮されないなど課題もまだまだありそうですね。

posted by 今だけ委員長 at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース
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