2010年10月25日

新聞産業の20年、値上げ・デジタル・ネット・業務提携に分類

 この数週間、夜な夜な新聞関係の資料とにらめっこが続いています。

 日本新聞労働組合連合(東海林智委員長)の下部機関にあたる東北地方連合会が、結成50周年の記念誌を発行するとのことで、先に行われた記念式典にはお呼びがかからなかったのですが(笑)、その編纂作業(過去20年間の新聞産業界の年表)を手伝うことになりました。


 古本屋やネットオークションで買い集めた関連書籍を眺めながら感じることは、5年ごとに新聞産業の特徴が見えることです。購読料の値上げ(1990〜1995)、(編集システム等の)デジタル化が加速(1996〜2000)、ネット事業への躍進(2001〜2005)、新聞社間の業務提携加速(2006〜2010)と時代が移り変わっていくのですが、再販、特殊指定問題に関する公取委とのやり取りは絶え間なく、「公取委との20年戦争」といっても過言ではありません。


 2年前に産業政策研究会(新聞労連の研究機関)の報告書へ著作物再販制度に関する論文を書いた際に、再販制度に関する年表を調べたことがありましたが、産業界全体の20年分の年表を起こす(出来ごとの取捨選択)のはかなりハードなものです。ネット上(ウィキペディア)でも全体的な年表は公開されていないので、完成したら小ブログにアップしたいと思います。20年分と言わず、60年分くらいやってみたいのですが時間がありません…。


【お知らせ】
新聞労連産業政策研究会全国集会が仙台で開催
■開催趣旨:新聞労連は衰退していく新聞産業の未来を憂え、2007 年9 月に産業政策研究会を設置し現状と課題を研究してきましたが、この秋に最終報告を発表します。その最終報告の普及と実践を模索していく趣旨の全国集会です。研究委員とみなさんとで深く議論し、より報告を深めていくことが目的です。
■日 時:2010年11月5 日(金)〜6 日(土)
■会 場:江陽グランドホテル(仙台市青葉区本町2-3-1)
■問い合わせ:新聞労連書記局(03-5842-2201)

posted by 今だけ委員長 at 01:54 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2010年10月24日

数学を研究してきたという若き販売店経営者のマーケティング論

 まだ30代前半の若き経営者は前例踏襲型の新聞販売業と葛藤しながら、@Social Network Serviceを活用したネットワークづくりA電子書籍端末の発達を見ておくB自分の世界を広げるC活力源を持つ―これら4つのことを自身のライフワークとして販売店事業に携わっていきたいと熱く語りました。


講演風景.JPG 宮城県南部で約1万2千部の新聞を取り扱う新聞販売店経営者Yさん(専務取締役)。3年前に家業の新聞販売店を継ごうと地元に戻る前は、大学院で数学を研究し卒業後には某企業のシステム・エンジニア(SE)をしていたという経歴の持ち主。
 そのYさんから郊外新聞販売店の仕事の流れや読者サービスなどについて10月22日、講演をいただきました。今だけ委員長が勤めている新聞販売会社では、毎月1回社員ら有志が集って「自主研修会」を行っています。今回は「新聞販売の仕事は販売会社と自営店でどう違うのか」というある社員のつぶやきがYさんへ講演をお願いするきっかけになったようです。

 「パワポ」で作り込まれた講演資料を見れば、その方のスキルがわかるもの。前職がSEということもあるのでしょうが、その資料は簡潔にまとめられていて“勉強家”であることがうかがえます。
 仕事ぶりもその通りで、ミニコミ紙「蔵王人」(毎月末日曜発行・現在21号)では、地元住民のコミュニケーションペーパーとして「まち」をテーマに人と人とのコミュニケーションの創造に着手。プレゼントコーナーも好評で、読者・地元のお店・新聞販売店の3者による「Win-Win」の関係が構築されているとのことです。また、未来の新聞購読者への投資も怠りません。管轄するエリアの中学校の各クラスへ新聞を提供する事業にも取り組んでいます(朝日・読売も参加)。さらに対象中学校の生徒から「新聞の教室設置」についてアンケートを取り、その結果を市教委や校長会、PTAなどへフィードバックしているあたりが素晴らしい。常に数値化して「仮説→実行→検証→仕組化」というビジネスの基本を押さえてアクションプランを立てているのでしょう。このあたりが旧態依然とした新聞販売店の経営とは違うところなのかなぁと時代の変化のようなものをつくづく感じます。


 懇親会では、来年から学習指導要領に新聞の活用が盛り込まれることで、業界関係者がこぞって小・中学生(の保護者)を対象にした販売施策を検討していることについて議論し、「それ(教育現場に新聞が活用されることのPR)は大切だけれど、新聞購読者の主力がシルバー世代であることは変わりない。タイムリーなビジネスチャンスが到来するとすぐさま猪突猛進しがちな新聞業界だけれど、シルバー世代をおざなりにするのはマーケティングの観点からすればあまり良いことではない」という同じような考察で盛り上がりました。


 新聞販売業のみならず、近年の企業の隆盛というのは組織力というよりは「人力」に大きく傾いているように感じます。組織力に乗っかってさえいればよかった時代から、組織力を生かせない経営陣に問われている「人力」。これも社会の可視化を進めるきっかけになったインターネット空間での情報発信が大きく影響し、(高齢者と若手との)知識を得て創造する力に差がついてきているのだと思います。

posted by 今だけ委員長 at 08:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年10月21日

【備忘録】ANYがいよいよ動き出した!?

 朝日、読売、日経の全国紙3社連合(いわゆるANY連合)が、首都圏(東京都と埼玉県)の印刷センターで刷られる新聞の共同輸送をはじめました。


▽朝日、日経、読売が共輸 首都圏で初めて(新聞通信 10月18日付)
 朝日新聞社、日本経済新聞社、読売新聞東京本社の3社は、10月1日付朝刊から首都圏で初めての共同輸送を開始した。共同輸送の対象となる工場は、朝日が日刊王子工場(東京都北区)、日経が八潮工場(埼玉県八潮市)、読売が東京北工場(東京都北区)の3工場で、輸送する地域は主に埼玉県東部、南部の販売店。共同輸送するコースは「朝日・読売」が5コース、「日経・読売」が4コースの計9コース。3社は2009年秋から首都圏での共同輸送の可能性を様々な角度から検討し、各社の販売店の協力を得て実現させた。共同輸送により各社の単独輸送コストの削減につながる。共同輸送を担当するのは佐川急便で、3社の共同輸送を担当するのは初めて。
 2つの印刷工場で新聞を積み、販売店(おそらく3〜4店舗分)へ届けるには相当の時間的ロスも心配されますが、降版時間の繰り上げなどでカバーするのでしょう。
 また、今回の共同輸送実現に際してANY連合(販売担当)による起案なのか、佐川急便の提案によるものなのか興味のあるところです。近ごろ、佐川急便が新聞輸送業に懸命だとの話をよく聞くので…。


 新聞輸送会社にも新聞以外の輸送業務ができるような仕組みを作れないものかなぁと感じます。

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2010年10月09日

新聞を介したぬくもり…送り手の一方通行ではダメですね

人が届けて、人が読む。だから新聞にはぬくもりがある。

 日本新聞協会が毎年10月15日から行う「新聞週間」にあわせて募集、選ばれた今年の『新聞配達に関する標語』です。ぬくもりかぁ・・・。毎朝販売店に届けられる刷りたての新聞の“ぬくもり”を直に感じる販売店スタッフから、ぬくもりを感じている読者がどのくらいいるのかなぁ・・・。「購読料を払っているのだから、届けられるのはあたり前」という世知辛いご時世で、クレームの連絡は受けるけれど、お褒めの言葉は少なくなっているような気がします。

表紙.jpg 日本新聞協会販売員会が10月に発行した「第17回」新聞配達に関するエッセーコンテスト入選作品集「ふれあいの詩」が届きました。
 今回の作品集は各新聞社提供の写真がふんだんに使われていてイイ感じ。
 この作品集を読者へ配るのは経費的にも大変なので、紙面で1話ずつ紹介してはどうでしょう。論説委員の方がきばって書いている社説よりも読まれると思います。また怒られるな…。

* * *

 きょうは若手の販売スタッフの方と酒を酌み交わしながら、いろいろと有意義な話をさせていただきました。入社半年の彼は某有名大学をこの春卒業し、契約社員としてこの業界に入ってきました。今のご時世だから正社員枠ではなく契約社員として採用されたのですが、とても優秀な人材なのです。その某氏との何気ない会話が心に強く響きました。


今だけ委員長「入社から半年経ってどう。何か悩みなんてない?」
某氏「最近とても悩むことがありました。個人目標(契約件数)の達成まであと1件という時に、担当区域の90歳になるお婆ちゃんに購読をお願いしたのです。でもそのお婆ちゃんは視力も弱いしとても新聞なんて読める状況ではないのだけれど、お願いしたら『取ってあげる』と言われたのです。でも折込チラシが多い週末の新聞をポストから抜くことすらできなくて、新聞は玄関先にたまっているのです。『取ってあげる』と言われたけれどそんな人に定期購読をお願いしてしまった自分が嫌になっているのです」
今だけ委員長「会社員として生きていくには、いろいろなジレンマを抱えながら悩み続けなければならないのかもしれない。その商品性や紙面とは裏腹のこの新聞産業の構造的な問題はもとより、数字を求められる販売部門の人たちはキレイごとでは成り立たない」
某氏「でも今だけ委員長はそのお婆ちゃんに売れますか」
今だけ委員長「オレは売らない。たぶん。会社員だけれど自分自身で最低ラインの線引きはするべきでそのこだわりは持つべきだと思う。それは人間性の問題なのかもしれない」

 偉そうにそんな会話をしてしまいました。

 「メシを食うために」なら何をしてもイイ? ぜったいにそうではない。そんなことが起きてしまう組織はやはり「偽」というメッキがはがれていくことにビクつきながら、社会に胸を張れない会社でしかないと思う。今だけ委員長も過去にその過ちを犯したこともあるので深く反省。
 社歴を重ねた重鎮は「そんな青臭いこと」と笑い飛ばすかもしれないけれど、きょうはその某氏の悩みを深く受け止めて“自分の立ち位置”を再確認できました。

posted by 今だけ委員長 at 01:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年10月07日

「キャンパス新聞」学生たちがたどり着いた結論は

 サンケイ・エキスプレスで「キャンパス新聞」の連載が始まりました。第1号のテーマはなんと自虐的な「生き残りかけた新聞社の闘い」。また「没落ネタかよ」と突っ込みたくなりますが、現役大学生が取材し、書き上げた連載だというので、チョット興味があります。読み終えてからコメントしたいと思います。

 仕事が少々忙しく書きたいことが後回しになっているので、取り急ぎ備忘録としてアップしておきます。

▽【Campus新聞】生き残りかけた新聞社の闘い2‐1(産経ニュース 10月5日付)
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/101005/trd1010051514003-n1.htm

▽【Campus新聞】生き残りかけた新聞社の闘い2‐2(産経ニュース 10月5日付)
 http://sankei.jp.msn.com/life/trend/101005/trd1010051518004-n1.htm

追記:「なーんだ産経新聞の提灯記事か…」と思われた方も多いと思いますが、まずは大学生の皆さんに興味を持ってもらうことが大切です。産経新聞東京本社・斎藤勉常務取締役がキムタクのような人相風体だったら“2ちゃんねる”でも話題になったかも…。

posted by 今だけ委員長 at 00:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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