2010年06月30日

灯台下暗し 河北新報が朝日新聞と印刷部門で提携

 きょうの正午過ぎ、東京在住中にお世話になった新聞業界関係の方々から電話やメールが多く寄せられて“てんてこまい”

 話をうかがうと、きょう(6月30日)の午後に朝日新聞社の広報から、「製作体制についての会見を開きます」とのプレスリリースがマスコミ各社(業界紙含む)へ送付されたとのこと。「朝日の製作体制がどうなろうと販売労働者は知ったこっちゃない」と聞いていたら、その会見には朝日新聞社取締役製作担当の宮田善光氏と、河北新報社社長の一力雅彦氏が出席するということだからビックリ。

 いや知りませんでした。当然ですがトップシークレットの事案なのでしょう。
 詳細はあすの会見を待つことにしようと思ったのですが、問い合わせてきた方々の話を要約するとこんな感じのようです。


 日刊スポーツ印刷社グループ企業の仙台日刊印刷株式会社(仙台市宮城野区扇町)が所有・稼働している輪転機3セットのうち、1セットが更新時期を迎えたため、早刷り用の1セット分を河北新報印刷株式会社(仙台市泉区明通)へ委託。部数は約5万部。

 輪転機の更新は新聞社(新聞社系列の印刷会社)にとっても大きな投資です。佐賀新聞は輪転機を更新するか他社へ印刷委託するかで悩み、最終的に更新することを決めましたが更新時期がずれ込んだため今年4月から来年3月まで、西日本新聞社の輪転機を借り入れて印刷するというケースもありました。
▽備忘録:西日本と佐賀が輪転機貸借合意/朝日放送と朝日新聞が提携強化
http://minihanroblog.seesaa.net/article/135335826.html

 ANY連合の旗揚げから新聞業界の業務提携は印刷部門だけに止まらず、記事配信に至るまで幅広く行われています。新潟日報社が受託印刷では進んでいるようですが…。
 今回の朝日、河北による印刷部門の業務提携(あす正式発表ですが)が新聞輸送や販売店の統合までを計算した展望があるのかどうかわかりませんが、業界関係者はかなり注目しているようです。


 あす(7月1日)の会見後に河北新報社HP「コルネット」に詳細が掲載される予定です。詳細はこちらで↓
http://www.kahoku.co.jp/

【追記】
▽朝日新聞の印刷受託で基本合意 河北新報社(7月1日15:00 河北新報コルネットより)
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/07/20100701t12040.htm
▽朝日新聞社、河北新報社に委託印刷へ 11年11月から(7月1日15:02 asahi.comより)
http://www.asahi.com/business/update/0701/TKY201007010214.html
 販売店への通達文書には「今回の受託印刷は、業界生き残りのために、また協調と共生という観点から、決断をいたしました。その旨、何卒ご理解のほど…」と記されてありました。
 業界内では関心あるニュースなのでしょうが、一般市民にはどの程度ニュース性があるのか疑問。7月2日付河北新報の第2社会面には、朝日・秋山社長と河北・一力社長が握手をしているカラー写真が掲載されていました。

posted by 今だけ委員長 at 20:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2010年06月28日

出版文化を守ることは出版社のビジネスモデルを維持させることではない

  電子書籍の衝撃.jpg
電子書籍の衝撃

著者 佐々木俊尚(ディスカヴァー携書)1,100円


 「ソーシャルメディア時代」を背景に、音楽に続いて本も「セルフパブリッシングの時代」へ突入する。
 アマゾンのキンドルやアップルのアイパッドのような電子書籍を手軽に購入、読むことができるデバイスの登場に、大騒ぎをしている出版業界をはじめとする「紙」業界ですが、著者はそのようなレベルの話に止まりません。音楽産業のデジタル化の流れを検証しながら、ネット社会がもたらした「誰でも発信できる」ことについてもきちんとおさらいをしてくれます。これまで「売れる本」を過剰な宣伝・広告費を投じて作り上げてきた出版社に対して、コンテンツの価値観はマスメディア(大手広告会社)の影響によるものではなくなり、消費者自身が判断しかつ興味のあるコミュニティを中心にコンテンツの売り買いがなされ、作者(著者)へ適正な対価が支払われる仕組みが出来上がってきたと。


 「本を読む」「本を買う」「本を書く」という行為そのものが、ネット社会、アイパッドなどの電子書籍を購入しやすい環境を提供するデバイスの登場によってどのように変わっていくのかが具体的に示されています。そしてプラットフォーム牛耳ろうとアマゾン、アップル、グーグルなどの大手IT企業の覇権争いについても要点を押さえてくれています。


 新聞業界の内側にいる人はどう読むのかなぁ。「一覧性に欠ける」「デバイスを買い替えるコスト高」「いちいちダウンロードする手間」などの理由で、やはり「紙」に分があると思っている人が大半でしょう。確かにいまの新聞購読層は中高年世代が主流なので、「紙」をベースにビジネスを展開せざるを得ないというのはその通りなのですが、アイパッドを使ってみて電子新聞もけっこうイケると感じています。広告面をタッチするとそのクライアントのサイトへ飛ぶというレベルではなく、記事を翻訳して英語や中国語に変換できたり、記事をタッチすると音声サービスついていたり、記事を書いた記者が飛び出したり、記事中の単語とウィキペディアが連動していたり…。こんなサービスが提供される日も近いのでしょう。これは使ってみないとわからないと思います。


 電子書籍の台頭で出版文化が危うい状況にさらされる―という意見もあるようですが、出版文化を守ることは出版社のビジネスモデルを維持させることではないと思います。新聞の場合はちょっと違うと思いますが。
 音楽が抜きんでた新たなデジタル生態系が書籍にまで広がってきたという捉え方ではなく、モノの売り買い、そして発信する行為自体がフラット化されていくことが理解できる1冊です。紙メディアの中にいる人にぜひ読んでもらいたいものです。

posted by 今だけ委員長 at 07:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2010年06月26日

即売新聞 ディスプレイまで考えたことあります?

 サッカーワールドカップが盛り上がってますねぇ。
 日本代表が一次リーグ突破をかけたデンマーク戦キックオフの時は、支店研修で3時過ぎからチラシ組み込みや逓送などの早出作業に従事していました。
 いつもは眠い目をこすりながら仕事に駆けつける配達スタッフも自宅で試合を見てきたのでしょう。「前半途中2−0で日本が勝ってます」と興奮気味に話すスタッフの目はいつもより輝いていたように感じました。
 ひと通りの作業を終え、ケータイのワンセグで試合内容をチェックしたら「後半途中3−1で日本がリード」。作業場では老若男女の歓喜の声があがりました。
 一方、「一次リーグ突破なら号外発行」との連絡を事前に受けていたのですが、やっぱり7時30分過ぎから出勤途中の方々を対象に号外というより(結果は誰もがわかっているので)記念写真を刷り込んだ「紙」を配布。「マスメディアとして仕方ないかぁ」と感じつつ、その費用対効果とやたら盛り上がるサッカーワールドカップの各新聞社の取り扱いに疑問を抱いている私です。


即売スタンド.jpg そんなサッカー熱がさめやらぬその日の夕方、某コンビニの前を通りかかったら、自動ドアの奥から3Dの映像が浮かび上がってくるかのように新聞の即売スタンドが目に飛び込んできました。出入り口向かってディスプレイされている新聞即売スタンドは通常のサイズよりかなり大きめで、来客者の目を引くポジションに置かれています。
 興味を持った私は名刺を片手に「チョット話を伺いたいのですが…」と切り出し、このようなディスプレイに至った背景と売上の変化について取材。店長さんは「K社の近くで営業しているのでできるだけ紙面のPRになれば」というありがたい言葉と、売上については「まぁそこそこ…」と明言は避けられてしまいました。

 書籍の世界では「平積み」の場所を確保できるかどうかで売上に大きく左右するものですが、新聞(発行本社も販売店も)は売れる工夫をしたことがあるのか?と問われれば「ありません」と答えるしかないのが現状です。

 新聞社は「売るのは販売店」というし、販売店もコンビニに納品すれば「あとはコンビニが…」との思考になっていると反省。これこそ殿様商売のなにものでもないとさらに反省…。

 即売スタンドに吊るされた短冊(ふんどしとも言います)に、書き手からのメッセージがほしいなぁと思いました。「きょうのイチ押し記事」とか「デスク日誌」などの作り手のコラムがあると「チョット新聞を読んでみようか」とならないかなぁ。

 まだまだ、やることはたくさんあるもんです。

【関連エントリー】
▽キオスクのおばちゃんと共に姿を消すスポーツ紙(2008.5.21)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/97403931.html

posted by 今だけ委員長 at 23:17 | Comment(1) | TrackBack(0) | 日記

2010年06月19日

パワーカスタマーの時代 読者相談室にこそスペシャリストを

 新聞は言わずもがな商品(新聞)の宅配までが購読料に含まれています。製造から流通までのパッケージ商品(販売店も専売店が多い)だからこそ、メーカーに流通部門の問い合わせもあるし、逆にディーラー(販売店)にも発行側への意見などが寄せられます。

 読者からのクレームの多くは不配・誤配などの配達に関することで、販売局が販売店への連絡に追われることも日常茶飯。配達スタッフのミスがほとんどとはいえ、不配が多い販売店はだいたい決まっているものです。販売局の人たちも「またあそこか」と舌打ちしているに違いありません。

 逆に販売店側にも紙面に関するクレームが寄せられることもしばしば。集金の際に小言のようにいわれる紙面への苦情もけっこうあるものです。内容は多岐に渡りますが、言い掛かりとしか思えないのものから「なるほど」とうなずけるものまでさまざまですが、その多くは「ひと言」文句をいわれても「来月もよろしくお願いします」で済んでいるし、販売店スタッフとのコミュニケーションが取れているので購読中止には至らないものです。
 「小言をいわれるうちは大丈夫」といわれますが、特に紙面内容に関する問題はそれぞれの主観によるものなので結論が出るはずもなく、当然販売店では対応しきれないものです。「これは手に負えない」という場合は編集局(読者相談室)へ連絡するものの、誰もそんな面倒な話は受けたくないだろなぁと思いつつ紙面に関することは勝手に返答できないので、渋々対応をお願いするのですが…。


 きのうの夕方、現場の後輩から電話が入りました。「お客さま(読者)から、○月○日付け朝刊17面に掲載された葬儀社の社名変更の記事は、どう読んでもその葬儀社を持ち上げた広告としかいいようがない。なぜ記事にしたのか編集側の見解を聞きたい」といわれたので発行本社に対応してもらえないかというもの。その後輩は何とか話を収めようとしたものの叶わず、「発行側から説明の連絡をする」ということで解放されたようです。
 電話を受けた私はどうしたものかと悩みました。編集局(読者相談室)へ問い合わせて見たところで、返事は決まっています。「新聞社独自の倫理に則り、編集デスクが責任を持って記事の取捨選択をしている」というもの。まぁその通りなのでしょうが、そのような一方的な説明では余計に話しがこじれるばかり。最後には「新聞をやめてもらっても構わない」と結をまくられることもしばしば。編集側からすると「いちいち対応していられない」ということなのでしょうが、販売店は1件の読者を失うことになる。このような実態を販売店側も知っているので読者からのクレームを編集側に言わなくなる。そうして“ズレ”がまた大きくなるというスパイラルが起きているように感じます。その中間に位置する販売局もどう対応を取ってよいのか苦慮していることでしょう。だって新聞社は編集が絶対なのですから…。

 それで今回の件がどうなったのかというと、販売局の方にも相談して編集サイドへいろいろと当たってもらったのですが、結局は「販売店で何とか…」ということになり、当方が直接その読者へ伺って話がつきました。「購読をやめる」とはならなかったのでひと安心ですが、「どうせ販売店の人間に言ったところで何も変わらないだろうが…」と前置きした上で、「紙面内容について問い合わせても新聞社の人たちは対応しない」と思われたのかもしれません。


 久しぶりに現場に出て感じるのは、パワーカスタマーの威力が相当なものになっているということです。配達の時間指定や土・日は配達せずに購読料から減額、集金の際に粗品を持っていくなどはあたり前で、以前よりも個別対応が増えています。それが紙面のことにまで広がってきている。わがままな読者が増えているとも感じる一方、やはり多くの情報を入手できる社会環境の変化とともに読者側のリテラシーが備わってきたことによって、紙面に対するクレームも増えているのだと捉えるべきではないでしょうか。また読者からの問い合わせに対応する部署の充実は不可欠です。読者相談室などには柔軟な発想を持ち調整力に長けたスペシャリストを配置しないと、読者とのズレは埋まっていかないのかなぁと感じています。


 最近読み終えた「電子書籍の衝撃」(後日、書籍紹介でアップする予定)の一説に、こんな記述がありました。新聞社に勤めた経験を持つ著者の佐々木俊尚氏の指摘は、さすが的を得ています。一部引用します。


 情報の量を需要と供給で考えてみると、かつては供給(情報を発信する側)が新聞・テレビ・雑誌・ラジオに限られていて、需要(人々が情報を求める気持ち)をカバーしきれなかったので、供給のメディア企業側に「情報を与えてやる」というパワーが生まれてきました。これが余剰の富となって出版社や新聞社、テレビ局の社員の高給にもつながっていたわけです。
 ところがインターネットが登場し、情報の供給はものすごい勢いで増えました。ブログや掲示板などの読み物だけでなく、ツイッターやSNS、メール等の双方向的なメディアも人々の需要を満たす存在として台頭するようになってきます。そうなると情報の需要と供給のバランスは完全に崩れ、いまや需要を上回る量の供給があふれるようになってしまったわけです。
 そうなれば「需要を絞る」ということによって余剰の富を得ていた古いメディア企業が没落していくのは当然のことです。それなのにいまだにメディア企業の側には「情報をオレたちが分け与えてやる」という古い発想の年配社員がいて、その頑迷固陋ぶりには幻滅するばかりですが―。(佐々木俊尚著「電子書籍の衝撃」105Pより)

posted by 今だけ委員長 at 23:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | きょうの喜怒哀楽

2010年06月13日

毎日jpをご覧の皆さん 矢沢永吉です♪

音魂:第87回 矢沢永吉 新アルバム「TWIST」 心深くに届くロックンロール (毎日JP)
http://video.mainichi.co.jp/viewvideo.jspx?Movie=48227968/48227968peevee313390.flv

 じつは当方、30年来の矢沢永吉ファンでして、アルバムはすべて買い求めライブにもほぼ毎回欠かさず行ってますw

 なにげに
YAZAWA'S DOOR(公式ファンクラブサイト)を見ていたら、「6月9日から毎日JPでインタビュー記事が動画付きでアップされます」とのこと。
http://mainichi.jp/enta/music/graph/otodama/87/

 なかなかいい感じに仕上がってるじゃないですか。
 「毎日JPをご覧の皆さん!」なんて言われたら、永ちゃんファンは毎日JPをブクマするはず?
posted by 今だけ委員長 at 23:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

階上配達は大好評 まだ流通部門でやれることはある

 先週と今週の土・日、延べ4日間は、市内中心部に建設中の高層マンションの内覧会。入居予定の約60世帯のお客様へ新聞階上配達の説明と移転手続きの案内をしてきました。


 オートロックマンションの売りは言わずもがなセキュリティ面の充実ですが、日々の新聞が1階のメールボックスへ配達されることへ不便を感じている読者の声は少なくありません。新聞を毎朝読む習慣が崩れてきた要因に紙面の問題とは違った観点で、オートロックマンションの普及もその理由の一つにあげられると感じています。
 「読者ニーズに応えるべき」と市内最大規模のマンション(ライオン印)での階上配達を実現させてから早6年。各系統の理解と協力もあってこれまで15物件で全紙協同による階上配達が実現しています。

 今回の物件も“ワンランク上”のマンションということもあって、入居される多くの世帯で何かしらの新聞を購読されていました(3紙購読されている方も)。システムを説明すると「それはありがたい」と大好評。なかには「東京では別途配達料が加算されるが…」との声も。その時には胸を張って「新聞は再販指定の商品ですからすべて購読料に含まれております。お客様の利便性とセキュリティの両面を遵守しながら配達作業にあたらせていただきます」とこれ見よがしに決めセリフを言わせていただきました(こんなときしか言えないのですが…)。

 以前、私が所属する会社で既存のオートロックマンション住民へ「階上配達を望むかどうか?」という内容の大規模なアンケートを実施しました。サンプル数は2000世帯近くだったと記憶していますが、結果は希望するが5割弱で、「現状(メールボックスへの配達)のままでよい」が4割弱という結果。その結果が影響したのかどうか分かりませんが、新築物件はもとより既存マンションへの階上配達の働きかけは小休止しているようです。
 しかし、お客様の生の声を聞くと新聞購読の習慣を維持していただくためも推進させなければならないと強く感じました。先般のアンケートもやはり文書だけではその利便性や信頼のようなものが伝わらなかったのかもしれません。直接説明をさせてもらうと「それはよいサービスだ」と膝を打って理解してもらえるものです。

 新聞を定期購読していただけるお客様を大きく増やすことはできないけれど、新聞を読まなくなる諸々の理由を一つずつなくしていく努力も流通サイドには求められると感じます。だから全系統の理解と協力が必要なのです。


P1010245.JPG 今回の説明会からiPadを使って階上配達のシステムを説明しました。何のことはない、紙ベースのパンフをPDFに読みこませて画面で見せるだけなんですけどね。お客さまからは「エー!iPad使って新聞の説明ですか」と説明自体よりもiPadへの関心の方が高かったかも…

posted by 今だけ委員長 at 19:47 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2010年06月11日

奈良日日新聞が週刊発行へ 「業務統合」も経営陣は元奈良新聞社のお歴々ばかりなので納得!

 奈良日日新聞社が7月10日付けで日刊紙としての新聞発行を終了し、週刊紙(毎週金曜日発行)へ移行するというニュースが入ってきました。奈良新聞社と営業部門(広告・販売)で業務統合をするとのこと。

 奈良市に本社を置く奈良新聞社(甘利治夫代表取締役)と奈良日日新聞社(藤山純一社長)は10日、営業部門を7月10日付で業務統合すると発表した。奈良日日新聞社は、日刊紙の発行をやめ、週刊新聞「WEEKLY  Naranichi(仮称)」を発行する。同社は日本新聞協会から脱退する方針。
 公称発行部数は、奈良新聞が約12万部、奈良日日新聞が約5万部。業務統合で広告などの売り上げ増を目指す。また、奈良新聞社から奈良日日新聞社へ有料で記事配信も検討する。「WEEKLY  Naranichi」は7月16日から毎週金曜日に8ページで発行する。(毎日新聞 6月10日付)

 新聞社同士の業務提携は印刷や流通のみならず記事配信でもオーソドックスになってきました。でも「統合」って?と思われる方もいらっしゃると思いますが、そこには一人のキーマンの存在が浮かびあがってきます。

 現在、奈良日日新聞社の取締役相談役に就任している西島謹二氏。同氏は奈良新聞社の元社主(代表取締役会長)を務めた方で、阪神淡路大震災の義援金の使途不明問題が発覚し1995年2月に新聞協会を除名(同年10月に再加入)、辞任に追い込まれた方です。

 その西島氏は2006年9月、前年の11月末で休刊した奈良日日新聞社を復刊させる新会社の役員に就任し、現在も両社に強い影響力を持っているというわけです。
 つまり、奈良新聞社と奈良日日新聞社は社名こそ違えど、「西島ホールディングス」(ちょっと大げさですが)が2つの媒体を持っているため、営業部門での「統合」が可能だということになるのでしょう。
 ちなみに、奈良日日新聞社社長の藤山純一氏も元奈良新聞社東京支社長、論説委員を務めた方です。


 日刊紙として12万部を発行する奈良新聞社は、これまで通り全国紙と部数競争に励むのでしょうが、週刊紙となる奈良日日新聞はローカルネタに特化して日刊紙との併読や、新聞を読まない層をターゲットに売り込むことも考えられますね。しかし、内容や価格にもよりますが週1回(8n)発行だとフリーペーパーの域を超えられるのかどうかがポイントのように感じます。

▽新聞経営にモラルは求められないのか?(小ブログ 2006年10月14日付)
http://minihanroblog.seesaa.net/article/25465399.html

posted by 今だけ委員長 at 22:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | 時事ニュース

2010年06月02日

着々と進められるNTTの回線契約奪取計画/iPadの利便性はまだ発見できず…

 iPadを入手してから6日目。
 何とか7つくらいの無料アプリをダウンロードして使ってはいるものの、実際には産経新聞(産経ネットビュー)を社内で見せびらかせていることにしか使っていません。後輩へ「これ使って何かできないかねぇ」と問うてはみるものの、「もう新聞いらないっすよね」とか、「新聞社が安価ですべての記事を提供したら販売店はどうなるのだろう?」という危機感の方が先に立っているようです。まぁこのような技術の進歩は小ブログを書き始めたころから予想されてきたわけで、いまさらあたふたしてもこの流れ(紙が全て電子データに取って替わるということではありません)にあらがうことは不可能なこと。それ以上の付加価値を人間が創り出していくのが流通部門のこれからの道なのだと思います。ただし新聞紙に限定しないことが前提です。

 そんなことを思いながら、このiPadは実生活(あくまでも個人的に)に使えるのかどうか、もう少し試してみればおのずと分かってくるような気がしています。いまのところ思った以上に重量感があるので、毎晩布団の中で本を読む当方にとってはあまり使えないかなぁと。
iPadスターティングガイド.jpg マニュアル本(活用術など書いてあるガイドブック)を購入してはみたものの、何かと忙しなくて最初の4〜5ページしかめくれてないので、少しだけハマってみたいと思います。


 連日、新聞紙面でも「iPad」が登場していますが、昨日は(iPad用の)新聞、雑誌を配信するサービス「ビューン」にアクセスが殺到してサーバがダウンするというトラブルがありました。
▽iPad雑誌配信がダウン ソフトバンク子会社、開始直後に停止(MSN産経ニュース6月1日付)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100601/biz1006011843028-n1.htm


(一部引用)新聞や雑誌の記事、テレビニュースなどコンテンツの情報量が膨大でサービス開始直後から使いにくいとの苦情が殺到し、想定したシステム処理能力を大幅に超えたという。1日午後6時現在、サービス再開のめどはたっていない。申込数やアクセス数がどれだけあったかは公表していない。
 ビューンの配信サービスは、月額350〜450円で新聞や雑誌、ガイドブックなど31紙誌を自由に読むことができる。

 週刊ダイヤモンドの最新号(インサイド)に「ドコモの回線『iPad』を使用、NTTがひっそり始める“裏技”」というオモシロい記事がありました。


(一部引用)iPhoneに続いてiPadでも販売の機会を逃したNTTドコモは、夏商戦向けの商品販売会のタイミングに合わせて、ひっそりと「定額データプラン」の新規申し込み料金割引キャンペーンを開始した。既存の契約者と新規の契約者に大幅割引を提供するというものだが、同時に“秘密兵器”になる新商品の取り扱いを明かしていた。
 この秘密兵器は、NTT東日本の子会社で、無線ネットワーク全般を扱う技術系企画会社のNTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)と機器メーカーのバッファローが開発した「小型中継機」(PER)である。これを使うと、NTTドコモの3.5世代携帯電話網(HSDPA規格)と、全国各地にある公衆無線LAN(Wifi接続)のいずれかの電波をキャッチし、状況に応じてネットワークを切り替えられる。外出時でも在宅時でもシームレスに通信ができるのだ。いうなれば、モバイル端末を軸とした「移動体通信と固定通信の融合」を先取りする技術なのだ。・・・現時点でも、PWRを介せば、iPadのWifi接続でNTTドコモ回線につなぐ非公式の“裏技”があるのだ。NTT陣営は、静かにグループとしてソフトバンクから回線契約を奪い返す準備を始めているのである。

 さすがガリバー企業のNTT。三公社(国鉄=現: JRグループ、専売公社=現: 日本たばこ産業、電電公社=現NTT)のひとつとして、すべてのステージで出遅れるもその潤沢な資本力で巻き返しを図ってきますね。
 「孫さん ガンバレ!」と応援したい気持ちなのですが、ユーザーにとって利便性のあるものが生き残る(特に技術系は)ということになるのでしょう。

posted by 今だけ委員長 at 20:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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