発表から約1年。いよいよ日本経済新聞電子版(WEB版)がスタートします。
日本経済新聞社は24日、インターネットでニュースを提供する有料の「日本経済新聞 電子版」(Web刊)を3月23日に創刊すると発表した。
すべての情報が無料だった「NIKKEI NET(日経ネット)」を見直し、一部の情報は購読料を払った会員のみが閲覧できるようにする。日経は「デジタル分野の強化で収益を上げていくことが不可欠だ」(喜多恒雄社長)と、紙の新聞以外の収益源にしていきたい考えだ。
料金は、電子版のみの購読者が月額4,000円、日経新聞の購読者は月額1,000円。有料会員は、朝夕刊や速報用のすべての記事やコラムなどが見られる。
約300万部の新聞を発行している日経は、電子版でも早期に約30万人の読者を獲得したいとしている。
きのう行われた記者会見では、日経の喜多恒雄社長が「パソコンや携帯電話などデジタル機器に親しんでいる方々にも電子版を通じて良質なジャーナリズムを提供する」と語り、時事通信社も「(日経電子版が)活字離れが進む若年層などの需要を掘り起こし、業績が低迷する新聞業界の再生モデルとなるか注目される」と報じています。
米国ではWSJ(ウォールストリートジャーナル)を追いかけるように、経営に窮する新聞社がオンラインニュースの課金システムを導入し、しのぎを削っています。「紙」そのものをやめてウェブ新聞へシフトする新聞社も出てきているのですから、日本のビジネスモデルとは大きく違うとはいえ、米国の新聞産業界の状況もも全く無視はできないかもしれません。
さて、今回日経がスタートさせる電子版はビジネスモデルとしてどうか。ツイッターなどのメディアに書きこまれる反応はというと、「ひと月4,000円は高すぎる(新聞を購読していればプラス1,000円)」という意見が大半を占めているようです。日本人に「情報への課金」がどの程度浸透するのか興味のあるところですが、日経は電子版契約者のターゲット(いわゆる上流階級?)を絞っているので、フツーの生活者がどうこう騒いだところで「そんなの関係ない」といったところでしょうか。それでなくとも15年以上値上げしていない新聞社が企業資産(データベース)をデジタル化して「客単価をあげる」ことは、今後の新聞社の経営にとっても必要不可欠なことだと思います。
「高い、安い」の論だけでなく、それに見合ったコンテンツが盛り込まれているのかどうか注視したいと思います。私も日経を購読しているので「プラス1,000円」をとりあえず申し込もうと思います。
ツイッターではこんな“つぶやき”も・・・。
▽日本経済新聞電子版広報部サイト
http://pr.nikkei.com/
▽「メディア企業も技術を重視すべき」日経電子版でブロガーらが討論(日経ITPRO)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100225/345031/
【追記】
▽「日本経済新聞 電子版」発表で感じる発想転換の難しさ(大西宏のマーケティング・エッセンス)
http://ohnishi.livedoor.biz/archives/51044738.html
▽日本経済新聞電子版の価格設定から透けて見える日経のホンネ(A Successful Failure)
http://d.hatena.ne.jp/LM-7/20100224/1267021310