米国の新聞事情をチェックしていると「マードックVSグーグル」という構図がこのところ突出して伝えられています。良くも悪くもマードックは「優れたジャーナリズムには金がかかる」として(ウェブ上の)新聞記事の有料化を訴え、廃刊を余儀なくされる米新聞業界の救世主のようなイメージで伝えられているように感じるのですが、日本の新聞界でそのような人物は登場してくるのでしょうか。
ニューズ・コーポレーションのルパート・マードック会長が、新聞社のコンテンツを無料提供するネット検索大手のグーグルなどを強く批判し、傘下メディアの記事をグーグルで自由に検索・閲覧できなくする措置を検討していると述べると、グーグルは新聞社サイトの有料記事は1日当たり5本までしか全文を無料で閲覧できないようシステム改良を行うと発表。次いでグーグルが新聞社のネットを通じた収益拡大を支援するとして、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストの米主要2紙と協力した新サービスを開始すると報じられると、マードックが米メディア大手5社とともにインターネットを活用し独自に情報を販売するサイトを2010年に立ち上げる計画をぶち上げるなど、激しいバトルが繰り広げられています。
グーグルがニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストと手を組むとなると、ニューズコーポレーションとマイクロソフトとの提携の動きも報じられているので、米新聞界はニューズ(MS)派とグーグル派の二極化する可能性もありますね。結局はグーグルの総取りになるようにも感じるのですが、ことの結末はいかに?(こんな軽い話ではないのですが…)
米国では新聞社の危機を救うために記事の有料化を推し進める動きが加速する一方、業界の切り込み隊長こと産経新聞が、新たに無料モデルのサイトを立ち上げました。
産経デジタルは12月7日から、新しい経済情報サイト「SankeiBiz(サンケイビズ)」を開設。フジサンケイビジネス・アイの公式サイトをリニューアルして、ビジネス・アイに加え、産経新聞、夕刊フジなどの経済関連記事を無料で提供するサービスをさらに拡充させるとのこと。産経が掲げる「ウェブファースト」の流れは加速する一方のようです。大量の希望退職者を募り、押し紙を大幅に整理し、2010年3月期中間決算は連結で黒字となったものの、産経グループの一貫したウェブ戦略に注目です。
ところで、このサンケイビズの経済ネタ(見出し)はtwitter(ツイッター)とマッチするような感じがします。でも、ケータイ未対応(ケータイ閲覧は月315円の有料モデル)なのは残念かな。
※参考記事
▽「優れたジャーナリズムには金がかかる」 グーグルVSマードック
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/091202/mcb0912021841326-n1.htm
▽グーグル、有料記事の閲覧回数を1日5本に制限
http://jp.reuters.com/article/technologyNews/idJPJAPAN-12760120091203
▽新「新聞サービス」開始 米グーグルと主要2紙
http://news.goo.ne.jp/article/kyodo/entertainment/CO2009120901000153.html
▽米メディア大手5社、共同サイト設置=グーグルに対抗、広告収入狙う
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-091209X514.html
▽グーグル、日本のユーザー拡大に躍起 音声検索やCMも
http://www.asahi.com/business/update/1207/TKY200912070358.html
※追記(12月10日)
▽マードックのWEJはグーグルと戦うが、NYTはグーグルと今後も仲良く
http://zen.seesaa.net/article/135182030.html