全国で最も不正常な新聞販売行為が行われている、京阪神・近畿地区の販売正常化に向けて、関西地区の発行本社(朝日・毎日・読売・日経・産経・京都・神戸)のトップと日本新聞協会販売員会役員らが16日、「関西新聞販売正常化と販売店強化のための推移会議」を大阪市堂島の「クラブ関西」で開催しました。
同会議は新聞協会販売員会・新聞公正取引協議会の飯田真也委員長(朝日)が取りまとめた「公正販売の実現に向けて」のスケジュールに沿うもので、「公正販売の実現こそが戸別宅配制度を堅持し、お互いの共生と新たなる繁栄への道であることを確認し、全国に先駆けて完全正常化を達成することを約束した」とする「関西7社販売局長共同声明」が発表されたようです。
関西7社の販売局長は、公正販売の実現こそが戸別宅配制度を堅持し、お互いの共生と新たなる繁栄への道であることを確認し、全国に先駆けて完全販売正常化を達成することを約束した。
正常化への具体的な道筋についての議論の結果、以下の事項について合意し、確実に実行することを決めた。
1、すべての実行委員会と現地会を定例開催することにより、関西における現状の過当競争を直ちに沈静化し、新聞公正競争規約(6・8ルール)を厳守する。
2、著作物再販制度と「新聞業における特定の不公正な取引方法」(特殊指定)告示の趣旨を系統内に徹底し、相互信頼の下、定価販売による公正な業界秩序を確立する。
3、新聞販売所の一層の発展と繁栄のため、共同配達、共同集金、及びポスティング等の新規事業について研究し、協力して実行に移す。
4、前記の3項目を実現するため、すべての実行委員会と現地会に完全正常化への行程表の作成と順守を求め、その進捗状況を毎月点検する。この共同声明と行程表から逸脱する行為があった場合には、当該局長が責任を持って是正する。 以上
突っ込みどころが満載ですが、高額なオマケや長期間の無代紙に慣らされた読者に対して、同調値上げと同じく護送船団方式で対応するということです。以前、新聞労連では販売現場で起こっている公正競争規約に反する販売行為に対し、発行本社の連座制(連帯責任)確立を求めましたが、今回の共同声明では「(不正常販売行為が行われた場合)当該局長が責任を持って是正する」という表記にとどまるなど、踏み込みが甘いような気がします。
どの程度実行性があがるのか注目したいと思いますが、それと合わせてもう一つの正常化、発行本社と販売店の取引関係(押し紙)も適正化されることを期待したいものです。
もうひとつの話題ですが、18日に開催された新聞販売公正取引協議会(中央協)の9月度委員会では、景品表示法の所管が公正取引委員会から消費者庁に移管されたことに伴って、新聞公正競争規約の改正、試読紙戸別配布ルールの配布期間制限の撤廃が承認されたようです。
「試読紙戸別配布ルール」とは、読者に無料(お試し)で配布できる期間を1カ月につき10日から20日までの間に上限7回と決められています。今回の改定では配布回数(上限7回)はそのままですが、期間の定めを撤廃するというものです。
新聞の月決め契約とは、その月の1日から月末まで。販売店は月末に契約が切れる読者や新たに契約が発生する読者の数を月初めの1日から3日頃に確定させ、社取り定数(宅配をして代金回収ができる読者数と即売店へ納入する部数の合算に予備紙を加えた数字を指します)を決めるのですが、月をまたぐ試読紙配布が多くなると定数のカウント自体が「試読紙の上げ底」に乗る格好になると懸念されます。当然、社取り定数はABC協会へ公称部数としてカウントされるものですから、実配部数(定期購読をしている読者)が曖昧になる可能性があるのです。
「押し紙」解消に向けたソフトランディング策の一つかもしれませんが、販売店ばかりに負担をかけると大きなしっぺ返しがありますよ。