朝日新聞拡張員:男3人を死体遺棄容疑で逮捕 名古屋の女性拉致殺害事件(8/26)
毎日新聞配達員:自首の新聞配達員逮捕 茨城の暴行死 相席頼み方気に入らず(8/27)
このような不届き者の犯罪によって、新聞販売店のイメージがより悪い方向へ流れていくことはとても残念です。販売店従業員の労務管理の問題は2つあります。ひとつは販売店主のモラルの問題。労務管理などの知識というか教育を受けていない販売店主が安価な労働力にばかり頼ってしまうこと。新聞奨学生が採用条件と違った労働を強いられるのはこのような店主の問題があります。もうひとつは販売店と発行本社の取引関係に起因するのですが、押し紙などの存在で経営が不安定かつ脆弱であること。ゆえに優秀な人材を確保できない状況にあるということです。
購読料値上げのときは「配達従業員の労働条件をあげるためにご理解を!」と社告に書き連ねるのですが、根本的な労務問題は「それは販売店の問題」として手付かずのままなのです。
2004年11月に起こった奈良県幼女誘拐殺人事件で毎日新聞配達員が逮捕された際、新聞社販売局が採用基準やネームプレートの着用など労務管理の徹底に乗り出したはずなのですが、実際には浸透していないようですね。
新聞販売店は労働条件が劣悪であるから「このような人たち」しか就労しない―という指摘もあるようですが、総じてそんなことはありません。真面目にやっていらっしゃる方がほとんどですから。
以前、「人材確保が難しい販売店の雇用事情」という記事をアップした際にある販売店を経営されている方からこんなコメントが寄せられました。
「新聞屋さんはたいへんだね、休みなしで・・・」という声に甘えて、それが当然のように捉え従業員は休みなしで経営者はもっぱら社長業に専念して高級外車にゴルフ三昧。労務改善はそっちのけのこんな経営者を多く見てきました。これは今でも多くいます。そんな利益があるなら従業員を一人でも増やして労務改善したら・・・といいたくなります。
「人を育てられない」環境があるのでなく
「人を育てようとしない」のが真実だと思います。
労務改善するには不当な販売行為を止めて健全な経営が出来る事が条件であり、まずは労務条件を整備して、部数競争はその次だとも思います。これは企業としての最低の責務ではないでしょうか。
部数競争による過剰な経費が、全国に43万人いる販売店従業員への諸条件を向上させられない重石になっているのです。新聞社の方には単なる事件として報道するのではなく、なぜこのような問題が起きてしまうのかを考えていただきたいと思います。