新聞の時代錯誤−朽ちる第四権力−
著者 大塚将司(東洋経済)1,785円
著者は2003年に日本経済新聞社の子会社「ティー・シー・ワークス」(TCW)で発生した巨額不正経理事件を暴き、株主総会で当時社長の鶴田卓彦氏の解任を提案(その後、日経元社長は特別背任と業務上横領行為で逮捕)したことで、同社から懲戒解雇されるが法廷闘争の末、解雇が撤回され復職したという経歴の持ち主。
新聞社で起きた(特に朝日と日経)不祥事問題を解析し、自らの問題を隠蔽しようとするマスコミの対応ぶりを糾弾する。新聞記者が本来のジャーナリストの倫理に反する行動をとっていると指摘し「サラリーマン記者」と揶揄している。(引用)サラリーマン記者が社内で高い評価を得るためには@スクープを狙わないこと(他の記者に妬まれるから)A独自の思想や理想に基づく主張をしないこと(反論がおき読者とのトラブルの種になるから)で、誤報のリスクのあるスクープなど狙わずに、毎日、夜も寝ずに働く。実際にそうしなくともその素振りをすることがもっとも大事で、(記事を)抜かれたときに適切な事後処理をして、神妙な顔つきをしていればいい。上司もたいてい同じ処世術で現在の地位を得ているので「可愛い奴」ということになる。
さらに著者は新聞業界の経営陣に羽仁五郎氏が国会で述べた一説を叩きつける「新聞の自由のためには、新聞の経営権と編集権、読者が真実を知る権利、この三つの権利が最も正しい関係に守られなければならない」と。
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