2009年07月09日

新聞社がなくなったら、誰が公益を守るジャーナリズムに金を出すのか?

 クーリエ・ジャポン.jpg
COURRiER Japon(クーリエ・ジャポン)7月号
発行:講談社 780円

 つくづく日々発行される週刊誌、月刊誌の数は多いなぁと感じるのですが、ネットで何げなく新聞ネタをググっていたら、「サヨナラ、新聞(ジャーナリズム)」を特集している雑誌を発見。

 「クーリエ・ジャポン」。はじめて手にした月刊誌です。

 これまでの“日本的”な新聞没落系の切り口ではなく、広義では新聞への応援歌といったところでしょうか。プリンストン大教授のポール・スター氏は「(新聞がなくなれば)これから誰が権力を見張るのか」と提起します。

 ―新聞は私たちの目となり、他のどのメディアよりも強力に国家を監視し、私企業の行き過ぎをチェックする、「市民社会の木鐸」ともいえる存在だった。なるほど、新聞がどのような使命を完璧に果たしてきたとはいいがたいだろう。しかし、いま懸念されているのは、新聞がもはやそうした使命をまったく果たせなくなるかもしれない、ということなのだ。


 ネットの普及によって、「市民ジャーナリズム」が発展する可能性や言論と表現の自由がこれまで以上に確保されるかもしれないという指摘については、 ―ウェブでは先入見に基いた報道をひも付きのジャーナリズムが蔓延りやすいということもある。ウェブでは、プロフェッショナルな報道倫理に基づいて運営されているニュースサイトとブログの区別さえはっきりしない。危惧されるのは、行政や企業の腐敗だけではない。ジャーナリズム自体の腐敗も進行しかねないのだ。


 (現時点ではとした上で)紙媒体を廃止し、ウェブに完全移行することは自殺行為だとするポール・スター氏。宅配の縮小(週3日へ)やNPOジャーナリズムなどが盛り込まれた論文は、そのほとんどの事例が米国のことではあるが、スムーズに読み進められる内容です。


 文中に挿入されているコメントが、これまた膝を打ちます。
▼新聞がいまの規模と業務を維持していくとすれば、景気が回復してもほとんど利益を出せなくなると予測されている。
▼新聞社がジャーナリズムにお金を出せなくなり、ウェブも代替物を生み出せない場合、誰が公益を守るジャーナリズムにお金を出すのか?
▼新聞の後継者がウェブから登場するだろうと期待されてきたが、新聞が後継者の登場を見ずになくなってしまうことも充分ありうるようだ。

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読売新聞が「押し紙」報道で週刊新潮を提訴

 読売新聞3本社(東京、大阪、西部)が、週刊新潮とフリージャーナリストの黒藪哲哉氏(51歳)を提訴しました。読売側が不都合な真実の封殺に動き出したとしか言いようがありません。

 訴訟内容は、週刊新潮6月11日号に掲載された「『新聞業界』最大のタブー『押し紙』問題を斬る!」(4回連載)の文中に、「実際には読者に配達されない『押し紙』が、販売部数の30〜40%あり、それにより年間約360億円の不正な収入を上げた」との表記が事実と異なるとして、新潮社側に5500万円の損害賠償と謝罪広告を求めるというものです。


 週刊新潮側は「記事は客観的な調査と取材に基いて書かれており、正確な報道だと考えている。事実を法廷の場で明らかにするとともに、取材を継続し、その実態を誌面に掲載する」とコメントを出しています。


 訴状を見ていないので、審理されるべき争点については言及を避けますが、@押し紙など存在しないA誤った理解が社会に広まり、信用が損なわれたB読売新聞社と同系統販売店が不正な収入を得ているとの虚偽の報道C虚偽の報道によって、新聞社、販売店の信用が損なわれ購読者が減る可能性があるD虚偽の報道によって、新聞社、販売店の信用が損なわれ広告や折込チラシの扱い量が減る可能性がある―というところでしょう。


 押し紙はまったく存在しないのか?

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2009年06月12日

ネットニュースの連載がアナログ出版

  スキャン0003.jpg
 新聞崩壊
著者 J-CAST編集部(株式会社ジェイ・キャスト)1,500円

 小ブログでも紹介した「ネットメディアJ-CASTニュースも『新聞崩壊』の連載だそうです…」がアナログ出版され、きょう自宅に届きました。

 本書は、J-CASTニュースが2008年12月30日から2009年1月13日まで、連載した「新聞崩壊」の記事本文と、各記事に寄せられた読者コメントを再構成されたものです。きょう発売というか、限定販売という案内につられ注文したもの。ネットでは“タダ”で見れるのに…。
 私が投稿した「読者コメント」もしっかり載ってました(汗)

 本書の表紙にこんなことが書かれてあります。

  日本新聞社一大危機えている。
  広告激減部数落み。
  そして、なにより読者からの信頼らいでいる。 
  新聞崩壊してしまうのか。
  連載インタビューで「新聞える問題点」を
  様々角度からりにする。

 表紙下に、J-CASTニュースセレクション@とありますから、ジェイ・キャスト社ではネットでの連載をアナログ(書籍)に落とし込んで販売収入も稼ごうというわけですね。ネット媒体も広告だけではビジネスとして成り立たないのでしょう。なんだかんだ言っても「紙」は強いですからね。

 12の記事に対するコメントも一緒に掲載されているのですが、一番多かったのが(50コメント)、「押し紙」問題を取り上げたフリージャーナリスト黒藪哲哉氏のインタビュー記事でした。「押し紙」問題について、市民の関心は高くないと思っているのは新聞業界人だけかもしれませんね。

※一部引用します。
1:
減っているのは確かだろう。  2009/1/ 2 12:13
減っているのは確かだろう。 私は新聞は取っていないが、無料で廃品回収してるという廃品回収業者を名乗る訪問者が来たので、庭の粗大ゴミの回収をお願いしたが、実は新聞販売店の拡販担当者だった。 で、庭の片つけ後、新聞の購読の勧誘を受けたのだが、6ヶ月の契約で、洗濯洗剤:4箱、発砲酒(いわゆる第3種のビール):2ダース、レトルトカレー:2ダース、ウィスキー:1本、なんかのチケットだった。 いくら、販売店の主たる収入が折込広告だといっても、拡販コストに3ヶ月分ぐらいをつぎ込んでいるのではないか? 購読する気が無いのでお断りしたが、その後の雑談で、12月末契約更新が無い家庭が多かった。3月末では更に増えるだろうとかの話だった。 まあ、某朝日毎日とかは、中華、朝鮮半島を持ち上げてるのだから、あっちで拡販をすれば良いのでは? と思った昼下がりだった。
2:
僕笑っちゃいます  2009/1/ 2 12:36

押し紙の数字に驚きです、新聞は日ごろ環境問題とか格好つけているクセに環境に優しくないんですね。
これからは新聞をやめてネットオンリーにすることが環境に優しい。

3:
カラス  2009/1/ 2 13:06
自営業を営むわたくしの店舗の近隣に、某全国紙の販売店があります。近所でアルバイトをしているおばちゃんからの内緒のコメントです。『配達する部数は入荷の6割くらい。それなのにチラシ折り込み代は入荷部数分。週に一回廃棄する新聞を大型トラック2台で回収。アルバイトしてるから悪い事言えないけど、完全に資源の無駄使いだし、ボッタクリ業よね!あたし新聞読まないし(^O^)!』唖然!
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posted by 今だけ委員長 at 23:34 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍紹介

2009年06月04日

週刊新潮つぶしが始まった

新潮.tif 新潮社と全国三紙との間で、みっともない争いが勃発しそうです。

 きょう発売された週刊新潮の「『新聞業界』の最大のタブー『押し紙』を斬る!」という記事と広告の記述に対して、朝日、毎日、読売の三社が、週刊新潮編集部に抗議文を送ったとする記事がそれぞれの第二社会面に掲載されています。
 朝日は記事内容そのものを、毎日と読売は広告の表記について新潮社側へ抗議し、謝罪を求めるとしています。
 特に朝日新聞は、阪神支局襲撃事件の実行犯を名乗る男の“虚偽の”手記を掲載した新潮社への逆襲のようなものを感じます。
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 以下は、きょう付の紙面から抜粋。
▽週刊新潮に本社抗議 「部数水増し」記事巡り/朝日新聞(第二社会面)
 朝日新聞社は3日、週刊新潮6月11日号の掲載記事とその広告について、「朝日新聞社の信用を著しく棄損した」として、謝罪と訂正を求める抗議文を同誌編集部へ送った。
 記事は「ひた隠しにされた『部数水増し』衝撃の調査データ」の見出しで、朝日新聞の「本当の配達部数」が、日本ABC協会が調べた部数に比べて大幅に少ないとしている。本社は抗議文で、記事が取り上げた滋賀県内での調査データは「事実と異なり、全く信用できない」とし、広告の見出しについては「全発行部数の34%が捨てられたと誤解される記述で、断じて看過できない」と指摘している。
http://www.asahi.com/national/update/0604/TKY200906040003.html
▽週刊新潮広告に抗議 毎日新聞など3社「事実無根」/毎日新聞(第二社会面)
 毎日新聞社は3日、「週刊新潮」6月11日号の新聞広告に事実無根の記述があるとして、同誌に対し文書で厳重抗議した。損害賠償請求を含む法的措置を検討することも通知した。朝日新聞社と読売新聞社も3日、同様の内容で抗議する文書を送った。
 問題の広告は、4日付新聞各紙(九州、北海道などを除く)向けのもので、毎日新聞のほか朝日、読売新聞の一部が「配られずに棄てられていた」などの記述がある。
 同誌によると、記述は滋賀県内の読売新聞元販売店主の調査に基づいている。抗議文では、記述が明らかに誤った内容であることを指摘したうえで「客観性に欠ける調査を根拠にしており、信ぴょう性がなく、毎日新聞の名誉を著しく棄損する」としている。
 週刊新潮は、今年2月5日から4回にわたり、朝日新聞阪神支局襲撃事件などの「実行犯」を名乗る男性の手記を連載。後に誤報を認めたうえで、5月になって、佐藤隆信社長ら役員9人を減俸処分にした。
▽週刊新潮の広告 本社が抗議文/読売新聞(第二社会面)
 読売新聞社は3日、週刊新潮6月11日号の広告(4日付本紙掲載)の見出しについて、抗議文を同誌編集長あてに送った。
 問題の広告は、「衝撃の調査データ 読売18%、朝日34%、毎日57%が配られずに棄てられていた」などとする見出し。抗議文は「広告は、読売新聞の発行部数の18%が配達されずに棄てられていたとの印象を一般の読者に与えるが、事実と異なっており、看過できない」としている。朝日新聞社、毎日新聞社も3日、それぞれ抗議文を同誌に送った。

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2009年06月02日

企業改革は経営陣の本気度がバロメーター

 6月1日、アメリカの象徴だったGMがとうとう経営破たんしました。

 今後は国有企業として再生の道を歩むことになるそうですが、過剰供給気味の自動車産業の中にあって、これまでのように(ガソリンの)大量消費型の大型車を大量生産する過ちを繰り返すのでは、再建は難しいのではないかと感じます。市場は低価格かつ燃費のよいコンパクトカーやCO2排出が少ないハイブリッドカーを求めているのに、消費者の動向を感じ取れなかったのでしょうか。いやデータや助言に耳を傾けなかった、経営改革を怠った経営陣による「人災」が、100年続いたGMを経営破たんに導いたのだと思います。


 けさの各紙の社説は総じて「時代の変化に乗り遅れた」、「変革なくして再生なし」などの文字が並んでいます。
▽朝日新聞:米GM破綻―クルマ文明変革の機会に
http://www.asahi.com/paper/editorial20090602.html?ref=any
▽毎日新聞:GM国有化 再生への道のりは長い
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090602k0000m070118000c.html
▽読売新聞:GM破綻 “売れる車”が再建のカギだ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090601-OYT1T01184.htm?from=any
▽日本経済新聞:自己変革怠った巨大企業GMの破綻
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20090601AS1K0100201062009.html
▽産経新聞:GM国有化 保護主義を排した再建を
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090602/amr0906020307002-n1.htm
▽中日新聞:GM国有化 「緑の社会」に残れるか
http://www.chunichi.co.jp/article/column/editorial/CK2009060202000041.html


 さて、新聞業界は…。

 日本経済新聞のコラム「日経春秋」(6/2付)に経済学者のピーター・ドラッカ―がGM経営陣から総スカンを食らったというエピソードが掲載されていました。

日本経済新聞のコラム「春秋」より抜粋。
 GMが破綻した。GMはアメリカ繁栄の象徴だった。そしてアメリカとクルマは20世紀の世界を語るうえでの象徴でもあった。自由と可能性の国でGMが国有企業になる…
第2次大戦中の話だ。経営学者ピーター・ドラッカーがGMに招かれ、1年半にわたって組織や経営を調査したことがある。すでに20年以上トップに君臨していたミスターGM、アルフレッド・スローンがつけた注文はただ一つ。「こんな助言なら気に入ってもらえそう、などと決して妥協するな」だったという。
…「私が裸の王様かどうか見極める必要がある」と言うスローンにしばしば意見を求められたとも書いた。であるのに、人が作ったもので四半世紀以上有効なものはなくGMの経営も例外でないと説いたら、経営陣に総スカンだったのだという。
…それから65年。創業からだと101年。石油危機や貿易摩擦はきつい助言をGMにつきつけたはずなのに。スローン自身も著書「GMとともに」を「変化に対応していかなくてはいけない」と締めくくったのに。それを結局生かすことはなかったのか。王様はついに裸のまま立ちすくんだ。
 

 過度に新聞産業の危機的状況をあおる必要もないし、右往左往するべきではないと思いますが、まだぬるま湯につかっている新聞経営者。現場の声とは読者だけではなく、産業の下流で働く人たちの声をも指すと思うのですが、自らの感覚や経験則による“知ったかぶり”で経営のかじ取りをしてきた結果が、読者離れを招いてきたのでしょう。

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posted by 今だけ委員長 at 07:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年06月01日

読売新聞の会員サイト「ヨリモ」が3周年

 新聞社が運営するWEBサイト会員に結構入会しているのですが、読売新聞社の「ヨリモ」が今日でちょうど3周年を迎えました。前日の報道『読売新聞が1億円所得隠し=社員同士の飲食は「交際費」−東京国税局』でミソがついてしまいましたが…。

 毎朝、6時30分頃に送られてくるメルマガ(きょうで726号)のコラムを見るのが習慣になっています。おそらく会員の年齢に合わせて出筆者(コラムの内容)も違うのでしょうが、朝イチに読むにはちょうど良い分量と内容です。


 コラム以外はほとんど見ていなかったのですが、何やらプレゼントキャンペーンスタートの文字が…。

ヨリモはおかげさまで3周年を迎えました。
感謝の気持ちを込めて、3つの賞品を9週にわたってプレゼントする「3×9(サンキュー)」キャンペーンを実施中です。毎週設けるテーマにちなんだ賞品をA賞、B賞、C賞と3種類用意しますので、お好きな賞品を選んでご応募ください。
外れてもWチャンスとして、ヨリモ3周年記念「前掛け」が390人に、ヨリモオリジナルシンブンクリップが3900人に当たります。

ヨリモ前掛け.jpg
 週替わりで用意する3品目の賞品から1種類を選び、9週連続で応募できるそうです。レトロな「前掛け」が目にとまり、ワンクリックで応募完了。

http://yorimo.jp/csa/Yrm0507_C/1221735536835?cidy=0102501090601

 でも嫁から「やめなよ。商品当たりましたよって口実で、勧誘されるんだから(怒)」と言われ、トホホ…。

 やはり新聞勧誘員へのイメージは「怖い」そうで、うちの嫁は居留守専門です。ダンナが新聞販売労働者なのに。

posted by 今だけ委員長 at 18:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年05月31日

新聞持参で割引サービス

 久しぶりに映画のはなし。

 敏腕新聞記者(主演:ラッセル・クロウ)が国会議員のスキャンダルを暴くサスペンス「消されたヘッドライン」が、各地の映画館で上映中です。
  消えたヘッドライン.jpg
 新聞記者が権力に挑むという構成の映画を数多く見てきましたが、それぞれの監督が描くジャーナリスト像には共通点があるように思います。それは決して権力に負けない不屈の精神。
 こういう場面で新聞の拡販をすると効果的だったりして。見終えた観客の多くは、フィクションであっても「新聞記者はそうあってもらいたい」と、新聞の存在や役割、記者への期待などに関心を寄せるはず。「熱」が冷める前にアプローチをすると効果的かもしれませんね。

 きょう、仙台フォーラムで同作品を鑑賞してきたのですが、同映画館ではこんな企画をやっていました。

《今日の新聞持って来ました割引》
消された〜』にその日の朝刊(スポーツ紙も可)をお持ちになられた方は入場料金1000円(通常1800円)に割り引きます。

 なんと素晴らしい企画。大手シネコンに追いやられるように閉館する映画館は後を絶ちません。このような工夫をして顧客をつかんでいる地元の映画館を、新聞社も応援すべきだと感じました。

 新聞業界の人たちは「内輪」で完結することが大好きなため、貧困なアイディアしか浮かびません。拡大路線は隅っこに追いやられ、縮小を前提としたリストラ案ばかり…。もっと外に目を向けるといろいろなアイディアがあるものです。

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2009年05月27日

特殊指定を崩す産経の地域限定値上げ

  5月26日付の産経新聞(九州版)に「月ぎめ購読料を50円値上げし3,000円へ」という社告が掲載されました。値上げは10月から。
 今年10月からの現地印刷(毎日新聞へ委託)に合わせて、「九州・山口版」ページ復活、取材体制の強化が値上げの理由とのこと。


 現在、九州地区で販売されている産経新聞は、大阪本社で印刷したものが空輸され、西日本新聞の販売店によって宅配されています。九州エリアの発行部数は公称3千部(実配はその半分くらいでしょう)。
 「値上げ」社告が刷られた紙面は空輸便のみのということもあり、まだネット上でも話題になっていないようです。


 「なぜ50円だけしか値上げしないのか」、「なぜ10月からの値上げをこんな早い段階で社告するのか」といった疑問もあるのですが、それよりも何よりも、不公正な取引を定めている特殊指定の「差別定価」に当たるのではないかというのがポイントです。
 特殊指定では「〜@日刊新聞の発行を業とする者が、直接であろうと間接であるとを問わず、地域又は相手方により、異なる定価を付し、または定価を割り引いて新聞を販売すること。〜」を禁止しています。

 今回の値上げ(山口・九州のエリア限定)について、業界の切り込み隊長と言われる産経新聞ですから、「ミスリード」ではないはず。すでに公取委には打診をし、特殊指定のくだりにある「ただし、学校教育用であること、大量一括購読者向けであること、その他正当かつ合理的な理由をもってするこれらの行為については、この限りでない」の合理的な理由に当たるとの確認はしているのだと思います。いわば公取委のお墨付きをもらったうえでの社告なのでしょう。

 新聞特殊指定を廃止したいと考えている公取委にとっては、このような取り組み(値上げであっても)は歓迎するはずです。理屈はどうであれ。


 問題は、護送船団の新聞業界にあります。今回の動きを「はいそうですか」というわけにはいかないと思います。たとえ部数が少なくても自ら特殊指定を崩そうとしているのですから…。
 産経新聞 値上げ社告.jpg

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posted by 今だけ委員長 at 23:54 | Comment(0) | TrackBack(0) | 特殊指定

2009年05月26日

やはり、広告に頼らない週刊金曜日しか電通のタブーは書けません

電通の正体.jpg
電通の正体 
―マスコミ最大のタブー―
著者 『週刊金曜日』取材班(株式会社週刊金曜日)1,200円


 新聞業界をはじめとするマスメディア(媒体社)の「広告スポンサーの報道姿勢」を問う声は少なくありません。

 例えば、たばこの広告を掲載している面に「喫煙者の肺がん発症率は○○%高くなる」といった記事は載せないなど「暗黙の了解」があります。掲載面を別ページに動かすのではなく、記事そのものをボツにしてしまう(それをやっているのも〇〇)ケースもあるというのです。

 最近では「パック広告」と呼ばれ、一見すると取材された記事のように編集された紙面(その記事を書いているのも〇〇)の下段には、その記事に関連する企業の広告が掲載されている記事体広告をよく見かけます(最近は紙面上段のノンブルに【全面広告】と表記している新聞社も増えましたが)。原発の必要性について「遠まわし」に書かれた紙面の下段には電力会社の広告が全5段で掲載されたりしていますね。

 また、2007年初旬に新聞の信頼を失墜させた事件も起きましたね。新聞社が裁判員制度のフォーラムや厚労省との共催イベントで、謝礼を払って水増し増員をしたという問題。全国地方新聞社連合会(この団体の後ろ盾も〇〇)という地方紙の任意団体が、紙面広告を受注するのと合わせてイベントの開催までを「パック商品」として行政機関へ売っていたものですが、人が集まらなければ媒体効果も問われるので「サクラ動員」までやっちゃったのでしょう。「人を集められなきゃもう使わないよ(広告を載せないよ)」という神の声があったと聞きます。

 そのような広告主と新聞やテレビをはじめとする媒体のつなぎ役が広告会社(代理店)であり、そのシェアの大半を握っているのが電通なのです。

 本書には電通と媒体との関係が赤裸々に記されてあり、巨額の広告費をつかさどっている電通の圧力に日本のマスメディアは屈しているという内容が容赦なく続きます。「マスコミを支配する日本版CIA」とはしがきに書いてあるほどですから、相当突っ込んだ構成になっています。これは広告費に頼らない週刊金曜日しか書けないだろうなぁ…。

 電通と取引停止になってしまったら、いまの媒体各社は死んでしまう―と言われるまで権力を持ってしまった電通の構造とその歴史が見えてくる一冊です。

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2009年05月25日

付加価値として届けていた小冊子も削減の流れ

 「販売店の経営が厳しいから」なのか、はたまた「新聞社が補助金をねん出できなくなっているから」なのか…。

 販売店が(新聞社から強制的に?)購入して、読者への付加価値として提供している小冊子(発行は新聞社ですが、ほぼ外注です)が、だんだん姿を消しています。

 日本経済新聞では、毎月20日頃に全読者(新聞へ折込)へ届けていた「日経4946File」を今月号で休刊するとのこと。挨拶状が同封されていました。
  4946.JPG
 この手の読み物は「奥さま向け」が多いのですが、この4946(ヨクヨム)ファイルは結構参考となる特集が組まれていて、いつも待ち遠しくしていました。愛読者だっただけに残念です。

 今後は日経読者応援Webサイト「nikkei4946.com」へ集約されるとのこと。

 朝日新聞が2008年度3月期決算で139億円の赤字を計上するなど、厳しい状況が続いている新聞業界。
 経営が厳しくなったから、採算が合わないものはやめる→サービス低下を理由に読者も購読をやめるというスパイラルに陥るのは目に見えています。
 これまで新聞社が地域への文化的貢献として行われてきた美術展などの事業も縮小方向に向かうのでしょう。それでなくても、日々届けられる新聞を手に取れば(減ページによって)薄っぺらくなってきたと、読者は感じているはずです。薄くなっても中身が濃ければ問題ないのでしょうが・・・。

 さまざまなものがスクラップされ始めている新聞業界。攻めの姿勢はまったく感じられません。

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2009年05月15日

「中央協だより」から

 新聞公正取引協議会が発行する「中央協だより」(155号)が、毎月デスクに届けられます。A3二つ折りの8頁建ての紙面構成もマンネリズムを感じますが、今年度から同協議会の委員長に就任した飯田真也氏(朝日新聞東京本社役員待遇販売担当販売局長)のあいさつが1面に掲載されていました。

 飯田氏が同協議会の委員長に就任するのは今回で2度目(前回は2005年)。あいさつの内容は「型通り」ではありますが、「強調」というメッセージが感じられます。公正な競争の推進を「ANY連合」はもとより、産業全体に浸透させていただきたいものです。


 その飯田氏は業界紙の共同インタビューで次のことを述べています。

▽共同出資でポスティング会社 飯田中央協委員長が就任会見(新聞情報 5月2日付)
(引用はじめ)販売店の強化策だが、これこそ各社の強調がもっとできないかと思う。例えば、この3年間連続して折込収入が減少しているが、媒体としての折込広告の優位性をもっとPRしていく必要がある。折込は廉価で地域限定、何より食卓まで届く便利な媒体だ。ただ、昨今、新聞離れが進んでいるので、今後は無購読世帯をどうするかという問題がある。無購読の増加で到達率が下がり、その隙間を狙って、ポスティング業者が進出してきている。このポスティング業者を各社で共同出資してできないかと思う。そうすれば新聞購読者には折込で、無購読者にはポスティングで届くという営業ができる。いずれにしてもポスティング業をやっている人は業界外の人ばかりなので、これは(新聞業界)共通の敵。これこそ協調の精神でやることが重要だ。すでにいくつか実験的にやっているところもあるが、全国的に展開することが大事だ」(引用終わり)

 実配をはるかに超えた部数を抱えた新聞販売店が経営を維持できたのも折込広告の収入があったからこそ。しかし、この3年間で折込広告は2〜3割の落ち込みが続き、販売店の経営は厳しい状況が続いています。最近ことに都市部の専売店の自廃が目立ってきたという報告もあります。


 一方で、チラシ広告の需要は大きく下がっておらず、リクルートが展開するタウンマーケットなどチラシ広告の宅配業社も増える傾向にあるようです。その意味ではエリアごとに安価で訴求できるチラシ広告をそれぞれの新聞(専売店であれば)に折り込む(2紙購読していればチラシも2部届く)よりは合売店の方が効率はよいし、購読者、無効読者に分けるまでもなく全戸配布をする業者が重宝がられる時代なのでしょう。でも(新聞)折込広告の場合は新聞に挟まれているから食卓まで届き、安価な価格設定が可能だというメリットも忘れてはなりません。


 以下は「中央協だより」から注目したい記事をピックアップ

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アメリカとイギリスの新聞販売の歴史「紙面競争」「価格競争」「景品競争」

新聞の病理.jpg
新聞の病理 21世紀のための検証
著者 前澤 猛(岩波書店)2,200円


 読売新聞OBの著者が2000年12月に出版したもので、21世紀に必要とされる新聞像、ジャーナリズムのあり方などが、欧米諸国との比較もしながら日本の新聞の問題点について詳しくまとめられた一冊です。


 著者は記者生活の中で忘れられない出来事が二つあると問題提起をします。ひとつ目はアメリカの有名なジャーナリスト団体「調査報道記者編集者協会」から特別表彰を受けた朝日新聞の記者(表彰の理由はリクルート事件の調査報道)が、表彰式に姿を見せず代理受賞したことを指摘し、「受賞したのはジャーナリストとしての記者個人だったのに日本の新聞記者は個人の独立性などがない」とし、調査報道などの評価も勤めている新聞社や上司の編集局長が受賞するものという風土があるという点。もう一つはベトナム戦争中にロケット弾の巻き添えになり殉職した記者が、国から叙勲を受けたことに関連して、「メディア企業の会長や社長の授与が増えているが、ジャーナリストが叙勲なるものに名を連ねることへの違和感と叙勲されることをありがたがるのはジャーナリズムへの堕落だ」と指摘します。
 この二つの出来事が、著者の「日本のジャーナリズムに対する疑問」を増幅させたきっかけであると述べています。読み進めていくと、日本は個人としてジャーナリズムを実践しているという意識が記者にはなく、企業ジャーナリズムに埋没しているという問題提起が随所に引用されています。


 第二章では「新聞の景品依存体質と読者離れ」と題し、販売問題についてアメリカとイギリスの新聞ビジネスの歴史を振り返りながら、「紙面競争」「価格競争」「景品競争」についての考察が詳しく分析されています。

 一般的に「紙面競争」は万国共通でも、日本は「著作物再販制度」の特権を享受しているため、「景品競争」に依存する販売戦略につながりやすく、「景品に依存する部数拡張政策」は経営的利益をもたらさないと断言します。
 アメリカでは「広告量・広告収入の増大」→「新聞価格の低下」→「発行部数の増加」という連鎖をたどり、19世紀末のアメリカの大衆紙の新聞経営は広告依存度を高めます。しかし「景品」による拡張はほとんど見られなかったとし、宅配ではなく一部売りを柱にした販売制度がその理由である可能性もあると分析しています。
 一方、イギリスでは「中央紙」「部数の寡占化」「膨大な発行部数」を築くため景品販売戦略を進めます。いわゆる今の日本の販売手法と同じです。景品競争の果ては@無料景品やコスト割れを招く物品の提供禁止A景品は懸賞と保険に制限という協定(日本でいう公正競争規約)を各新聞社が結ぶことになるのですが、またぞろ「景品競争」は再開され「ヘラルド(大衆紙)」は「200万部」、「部数第1位」を手中にするも経費を吸い込むアリ地獄の経営へ。そして1961年にはミラーグループへ買収され、以後「ザ・サン」と改題されます。結局は紙面重視に景品依存が負けた(読者はそう判断した)というのがイギリスモデルなのです。


 そのほか、前澤さんが私案として提起する「ジャーナリスト倫理指針」なども(同書の発行は10年前ですが)今に通じるものがあると感じます。

 日本の文化だから他国と比べる必要はないという方も少なくないのですが、紆余曲折がありながらも最終的には「紙面競争」で読者からの信頼を勝ち取るということが、生き残りへの道なのでしょう。

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